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編集長Gの完全私的レポート ロイコレの現在地。|ROYAL COLLECTION

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ロイコレの「未来」。
過去のロイコレの栄光を継承し、ゴルファーの信頼を新たに勝ち得ていく独創性のプロダクトを生み出すメーカーに。
完全私的印象は堅実かつ
“独創的進撃”。

2024年1月、アドラージャパンからロイヤルコレクションに社名変更した同社社長にロイコレの現在地、そして未来を聞いた。

岩崎暁展さん
株式会社ロイヤルコレクション
代表取締役
「一度退職したゴルフメーカーの事業を、自分が受け継ぐとは思ってもみませんでした。当時は確かにナンバーワンであり、出すもの出すものがヒットを呼びましたが、今の時代にその栄光は通用しません。自分たちにしか提案できないこと、時代に必要とされるプロダクト、製品力をロイコレらしさとして勝負していきたい」。

2022年、
REBORN開始

前ページで紹介したカリスマ創業者たちとロイヤルコレクションの栄光を共に歩んだスタッフたちがいる。その一人が岩崎暁展さん、2000年に入社した。岩崎さんは20代、プロゴルファーを目指してアメリカで修行をしていた。シニアツアーのキャディを経験し、別次元のゴルフを目の当たりにして道を断念。日本に戻り、手に職あるゴルフ業界で就職先を探す。

「ジャパンゴルフフェア出展先の有力企業全てに電話をかけ履歴書を送り、縁あってロイコレに入社しました。出身の群馬から車一台で荷を運び神戸へ、当時全盛だったロイコレにはトッププロたちが会社を訪れ、そのブランド力に圧倒されたのを覚えています」(岩崎氏) 

岩崎さんはロイコレでマーケティングを担当。フェアウェイウッド、ユーティリティだけではロイコレはこれ以上進んでいけないと自ら打診し、アイアン、ウェッジの開発にも着手。ヒット作を残したが、経緯あって2008年にロイコレを退社。その後、とあるゴルフ事業に参画した後に独立。2016 年にアドラージャパンを設立して、工房向けのパーツブランドを専門に展開してきた。2022年、自身のルーツであるロイヤルコレクションの事業を継承、「REBORN」を掲げて同ブランドの未来を受け継いだ。そして冒頭のリリースが届いたタイミングに至る。

必要とされたし、
必要とされなかった
ロイコレの現在地

どんな心境でロイヤルコレクションを継承したのか、岩崎社長に聞く。

「一度ロイコレを離れて、外からブランドが衰退していくのを感じていた。のちに私に事業を受け継ぐ機会が訪れ、私のルーツでもあるロイコレを自分で復活させたい、という強い気持ちにも駆られました」(岩崎氏)

岩崎社長がロイコレの復活を掲げてリリースしたのが、「TM-X」(強弾道仕様)、「AM-X」(高弾道仕様)と2本のフェアウェイウッド、ユーティリティ、そしてドライバーだ。私のようにロイコレの栄光を知る、歴の長いゴルファーはただただ“懐かしさ”を感じたはず、販売店も同じ反応だった。一部販売店では過去のロイコレの栄光・衰退を知らない若い世代がその機能に注目し、いわゆるバズりを見せた。当たり前なプロダクトに飽きたゴルファーの支持を得ることができたのだ。

しかし現在に蘇ったロイコレには、過去のような居場所(売り先)はなかったのも事実だ。というのも、前ロイコレ時代の衰退期、販路拡大や商品構成の拡充など拡大路線が結果として取引先の信頼を失う事となった。

「前ロイコレの衰退期に関わっていないとはいえ、ブランドを継承する以上、信頼を一つひとつ回復していく必要は当然あり、それが至難なことは百も承知です。とくに昔とは違い今は海外ブランドが台頭し、多種多様のラインナップが揃っている中だからこそ、中途半端は通用しない。その状況をあえてチャンスにとらえ、ロイヤルコレクションにしか出せない発想、商品力の提案はまだあるはずだと考えました」(岩崎氏)

「REBORN」し、多くのプロが惚れ込んだロイコレらしさを継承したフェアウェイウッド「TM-X」の形状。ネックからフェース面への立ち上がり、ターゲットをしっかり定められるスクエアフェースが美しい。

打ちやすさを継承した「AM-X」、強弾道を継承した「TM-X」。それぞれフェアウェイウッドとユーティリティが、現在進行形で新たなロイコレファンを創造している。昨今低スピンフェアウェイウッドが主流になり、そのパフォーマンスを活かせないゴルファーがロイコレに注目。海外ブランドドライバー➡ロイコレ、という新たなセッティング文化も生まれている。

過去の栄光ではなく
新しさを求められた
ロイヤルコレクション

ロイコレの信頼を取り戻す光を見出すことができたのは、2023年冬に発売した「BBウェッジ」。ソールに溝(凹み)が入ったコンセプトウェッジは一風変わっているが本格的。前ロイコレ時代にウェッジをともに手がけた旧友、研磨師・都丸和和寛氏(グラインドスタジオ)と再タッグを結成して生み出した渾身作で、只今メーカー欠品中。工房店の同ブランド扱いも「BBウェッジ」を皮切りに少しづつ復活を歩んでいるという。

「結局、ロイヤルコレクションの栄光がインスパイアされたプロダクトでは、現代のゴルフ環境には必要とされていない現実があったのは結果として明らか。『BBウェッジ』は他にない発想と製品力という確固たる魅力があり、そこにロイコレらしさをリンクしてくれる確かな反応があった。ロイヤルコレクションに求められるのは、他には発想できない説得力ある製品力であり、その堅実な活動こそが販売店の信頼を回復して今の時代に新たなブランド力を創造していく道だと確信しています」(岩崎氏)

今後、ロイコレからどんなオンリーワンプロダクトが生まれてくれるか、岩崎社長の力強い言葉から期待値は高まるばかりだ。直近では工房展開専用モデルの開発に取り組んでいるという。

過去と現代、2つのロイヤルコレクションのキーマンに直接話を聞き、完全私的にレポートで駆け抜けてきた。この稿をそろそろ締めくりたいが結論、ロイコレの現在地は前ロイコレ創業時に2人のカリスマが取り組んだ堅実かつ他にないものを自分たちで作り出してきた活動、つまり“原点回帰”したのだと感じている。今後のロイコレを過去のフィルタを通して見るのもいいが、個人的には完全に新ブランドとして創造されていく新たな“らしさ”に期待したい。過去を振り返るより、未来を応援し、感動する方がゴルファーとして明らかに楽しい。

6ミリの溝が構成するバックバウンスが、ダフリのミスを感じさせない。5年もの試作期間を費やした都丸氏(グラインドスタジオ)の独自設計が確実なパフォーマンスに生きている。

ヒット作となった「BBウェッジ」。もともとアプローチイップスの岩崎社長は、自分と同じ境遇のプレーヤーをターゲットしたチップウェッジを商品化したこともあり、ウェッジ開発には“イップス克服”をテーマにしていた。

撮影=田中宏幸、高橋淳司

www.royalcollection.co.jp

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