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BUZZ GOLF 2021年12月号 発行
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2024年はPGAツアー2勝、そしてパリ五輪銅メダル、プレジデンツカップでは世界1位S・シェフラーを撃破するなど、名実ともに世界のトップに君臨する松山英樹。
ダンロップフェニックスで日本ツアーに凱旋した彼のパフォーマンスを、スイングコンサルタント・吉田洋一郎がウォッチング!
2024シーズン、松山選手のドライバーショットのスタッツは例年よりも良くなっている。パー4とパー5のティショットで稼いだ打数を示す値である、ストローク・ゲインド・オフザティー(SG:Off the Tee)を見ると、2022︲23年シーズンは81位だったが、2024年シーズンは33位に向上。このデータからはティショットの飛距離と方向性が安定していることが伺える。
松山選手のドライバーショットは、スタッツに表れているように、飛距離と方向性を両立したスイングだと言える。アドレスではワイドスタンスでバランスよく構え、バックスイングでは上半身と下半身を連動させながらクラブを上げていく。体と腕のシンクロが保ち続ける適度な大きさのトップ・オブ・スイング、下半身が先行するダウンスイングは、体を動かす順番の「運動連鎖」が適切に行われている。
以前に比べて、ダウンスイングからインパクトにかけて左膝が伸びるタイミングが早くなっているように見えるが、踏み込んだ後に行われる「抜重」の動きによって肩の縦回転が促進されることで、振り遅れを解消し、安定した方向性を実現しているのだ。また、「抜重」のタイミングが良くなることで、今まで以上に縦の地面反力を使って飛距離を伸ばすことも可能。松山選手のスイングを参考にする場合は、左足を踏み込むタイミング、「抜重」のタイミングを意識してほしい。
ウォッチャー/ 吉田洋一郎
よしだひろいちろう、世界のあらゆる最新ゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。
松山選手はPGAツアーを代表するアイアンショットの名手だ。パー4とパー5の2打目とパー3のティショットにおいて、選手平均に対して何打稼いでいるかを示すストローク・ゲインド・アプローチザグリーン(SG:Approach the green)を見ると、2022︲23年シーズンは14位、2024年シーズンは12位と大差はないが、短い距離の50~125ヤードが2位、ミドルアイアンの距離である175~200ヤードが3位と、アイアンショット全般が高レベルだったことがわかる。
松山選手のアイアンショットが正確性に優れている要因は、肩の縦回転にある。ダウンスイングからフォロースルーにかけて右肩が下がりながら前に出る動き、すなわち肩の縦回転の動きによって低く長いインパクトゾーンを形成することで正確なショットを生み出しているのだ。インパクトで両肩を結んだ線が垂直に近くなるような肩の縦回転と、左サイドが伸びる抜重の動きを連動させることで、縦方向の地面反力で飛距離を出し、ロングレンジのアイアンショットでも精度を高めている。さらにスイング中には両肘と胸の空間が変わらない。つまり体と腕がシンクロしている状態を維持しているため、再現性の高いショットを生み出せるのだ。
撮影=田中宏幸
取材協力=ダンロップフェニックストーナメント
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