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今月のゴルフ愛 最後の一滴「王者への道」

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ゴルフをかじる人に「XXIO」の読みを問うと、誰しもが「ゼクシオ」と答える。「エクシオ」ではない。

「XXIO」は住友ゴム工業のゴルフ部門の生死を賭けた乾坤一擲の大勝負の中で誕生した。1990年代の住友ゴム工業のゴルフクラブ部門の売上は輸入総代理店契約をする「キャロウェイ」に大半を依存していた。この契約が21世紀を控える1999年に終了することが社内に告知された。座してリストラを待つか、現状を打破し未来に繋げるか…… 騒然とする社内でゴルフ部門の意志が問われる闘いが始まった。

「ピンチをチャンスに!」と言うのは簡単だが、大半の場合はピンチを前に思考が停止し、旧弊を打破出来ずに挫折する。「勝者の論理」でもあるが、生きていれば必ずピンチが訪れる。この時に「未来のあるべき姿」を見出せれば、それがチャンスのカケラとなり、見出せなければ奈落の底で霧散することになる。

XXIは21を表す。「21世紀にGO “O”N!」と説明されるが、「21世紀の王者(O)は俺たちだ!」という並々なら意志も込められている。

当時営業を担当していた旧友M氏は「ヘッドを持って必死でショップ回りをしました。いきなりトップブランドに仕上げるのがミッションでしたからね。少し手応えを感じたのは発売直前だったかなぁ」と当時を振り返る。そして、手応えは現実となった。「ゼクシオ」という濁音を含む音の強さと、インパクト時の澄んだ「キン!」が強烈な弾道に溶け合ってゴルファーのハートを鷲掴みにした。

今年、「XXIO」は13代目となる。「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」とは平家物語。足利家も徳川家も15代。ルイ王朝は16代で終わった。一方、今上天皇は126代目である。23年間に亘りシリーズ累計1660万本(23年8月現在)を誇る21世紀の絶対王者の未来へ向けた戦い方に興味津々である。

 

内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF 主筆

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