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今月のゴルフ愛 最後の一滴「拝啓、練習場経営をされる皆様」

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電子レンジは英語ではMicrowave ovenである。なので、日本語である。英国では、コンロにグリルやオーブンを備えた調理器具をレンジと呼んだ。戦後、日本では天然ガスが一気に広がる。魚を食する日本では、ガス炊飯器と共にグリルが付いたガスレンジが調理器具の代表格となった。この流れで電子を使った調理器具として電子レンジと称されたようだ。因みに、コンロは英語っぽいが、焜炉である。

レンジと言えば、「趣味の範囲」や「計画期間」など分野や時間などの広がりを持つ言葉でもある。射撃場は「シューティングレンジ」という。飛び散る弾丸の危険性を考慮して、一定の距離を確保した空間をレンジとしたのだろう。欧米ではゴルフ練習場のことを「ドライビングレンジ」と称する。どこに飛ぶのか判らない我が球を思えば、弾丸以上に広大な場所が必要だ。

このレンジが今、大きな変化の中にある。弾道計測器を導入したレンジでは色々な情報がモニターに表示される。実際のラウンドで距離計測器を使用するせいもあるが、番手毎の距離を考えた練習も出来るようになった。散乱するボールの着弾箇所は点々とプロットされるものだから、モニターを見るたびに情けなくなる。ボールが見えにくい夕刻などの時間帯でも球の行方が判るのはありがたい。ボールの行方にめげず、いつでも練習をすることが出来るのだから。

ところで、冒頭の電子レンジである。軍事研究からの偶発的な産物であるとか。得体の知れない電子が飛び交う危険領域として「電子レンジ」と呼んだのかもしれない。こんなことを考えながら、練習場でバラバラに飛び交う球を眺めていると電子の粒に見えてきた。練習場を経営される皆様。どこに行くのかも判らぬ我が球のために斯様に広大なレンジを御用意いただきありがとうございます。

BUZZ GOLF 主筆
内本浩史
(うちもとひろし)

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