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今月のゴルフ愛 最後の一滴「増量!」

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「チーちく」が斜めに5個入っている。間延びした空間が入り数の減ったことを物語る。久々に手にしたハンバーガーは小ぶりになり、ポテトも小柄でスリムになった。トイレットペーパーを新しいものに交換して空芯を捨てるのは、我が家では僕の暗黙の仕事である。明らかに回数が増えた。

価格は据え置き、内容量を減じた「ステルス値上げ」が増殖している。満足感は、購入後の体験の質で決定される。が、その前に買ってもらわなければならない。企業担当者は価格と満足感の相克するバランスで悩むことになる。つまり、「チーちくは大好きです!」という話しである。

今、起きていることは、「増量! 値下げ!」と相対的な値引き合戦で戦ってきた社会から、絶対的な本質の時代にシフトしているということだと思う。提供する企業は生活者の新鮮な満足度を高めるべく、絶妙なバランス感覚をもってコトを含むモノの創造が必要とされる… ということなのだろうが、悩みは深い。

そういえば90年代初頭、ドライバーヘッドの体積は増量の時代にあった。ステンレスヘッドが160㎤程度だった時代にチタニウムヘッドが登場し、200㎤を超え、遂には460㎤を上限とするルールが生まれた。3倍近くも増量されたわけだが、飛距離が3倍になったわけではないし、スコアもそれほど変わっちゃいない。それでも、ちょっとした変化がゴルフを面白くするのは、適正なバランスの上にあるからだろう。ゴルフを産業として考えるならば、多様性のある新しいプレースタイルを創造してゆくこともひとつの解となる。

ところで本号は、読み応え満載の+40頁の大増量です。質をそのままに増量しているということは、BUZZ GOLFのスタッフ達のストレス肥満が懸念されるのです。やはり、「チーちく」は5個でいいのかもしれない。

BUZZ GOLF 主筆
内本浩史
(うちもとひろし)

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