1. HOME
  2. 連載
  3. 今月のゴルフ愛 最後の一滴「花道とセレナとバズゴルファーと。」
連載

今月のゴルフ愛 最後の一滴「花道とセレナとバズゴルファーと。」

連載

我らバズゴルファーが、「練習場に行く」と言えば、ほぼゴルフの練習を意味する。「打つだけ」の練習を目的にした広大な空間は、他のスポーツと比しても特異な空間である。「バッティングセンター」同様、日本人は一人で出来る練習が好きなようだ。

桜木花道が残り0.1秒で放ったのは、バスケの基本のジャンプシュートだった。人気映画「the First Slam Dunk」のラストシーンである。ケンカで鍛え上げた肉体を武器に、ジャンプ一閃、スラムダンクを叩き込んで試合を決める自身の姿を夢見てバスケの道を選んだ。試合直前、彼は仲間の手を借りて2万回のジャンプシュートの練習をしている。その凄みの根っ子には、試合の極限下に生じる状態をリアルな感覚で認知する能力にあったと思う。ブザービーターが決まった瞬間、我々は真のバスケ愛に目醒めた桜木花道に感動するのである。

かくして、初めてパーを取り、バーディを取り、100を切り、ダブルペリアのコンペで優勝したときの、あの感覚・・・それぞれの延長線上に存在する未知のリアリティーに触れるために我らは練習場に通う。が、我流を極めた練習である。慢心して足元をすくわれるのはマシだが、練習を重ねることで大叩きをすることもある。練習は決して上達を約束するものではない。ゴルフがキライになることも数知れず、それでもまた練習場に行く。「下手の横好き」とも言うが、横があるから縦が活きると信じて、新たな気付きを得るたびに其れに賭けてみる。

今月号で特集された青木瀬令奈プロは、上位争いをしながらドライビングディスタンスのランクも上げている。常にリアリティーを伴う感覚を大西翔太コーチと確認しながらトレーニングを繰り返しているのだろう。程度の差こそあれ、我らの「横好き」と根っ子は同じなのかもしれない。「ゴルフが好きだ!」という一点において。

 

内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF 主筆

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。