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緊急取材Ⅱ ゴルフルールの総本山 「R&A」に聞いたゴルフルールの現在と未来

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ゴルフ規則を司る「R&A」の用具規則責任者、スティーブ・オットーさんが8月某日に来日した。
これまでBUZZ GOLFでは2度の機会で彼にゴルフルールのあり方について取材してきたことがあるが、今回も特別に貴重な時間を割いてもらい、2023年現在のゴルフ、そしてゴルフのこれからについて、そして私たち一般ゴルファーの疑問について、「R&A」の見解を聞かせてもらった。

ゴルフルールをもっと今よりも
よりよく進化させていける準備はあります。
───R&A 用具規則責任者
スティーブ・オットーさん

「お久しぶりです」、そう取材者の私(編集長G)を出迎えてくれたオットー氏。親日家の彼はコロナ禍があけて、もう5回も日本に訪れて様々なゴルフ産業のリーダーたちとコミュニケーションを積極的にとっているようだ。
「世界的なパンデミックで様々な行動が制限されていた中、アウトドアで楽しめるゴルフはプレーの自由が許されました。その結果、新たなゴルファーが多く生まれ、とくに女性や若年層にゴルフというスポーツだけが持つ価値観を理解してもらうことができた。ラウンドだけでなく練習場、そしてインドアのニーズも増え、現在もそのブームは続いていると感じています。『R&A』ではこのブームを維持し、さらに成長させていくためにPR活動しています。とくに私たちが啓発したいのは〝ゴルフが健康維持に貢献すること〟、そして目標とするのは“ゴルフ産業で働く女性を増やすこと”です」。

質問Ⅰ
2019年に大きく改正された
ゴルフルールの中に〝距離計の使用可〟が
ありましたが、プレーの進化はありましたか?

プレーファストに
大きく貢献していると実感しています。

一般アマチュアのゴルフシーンだけでなく、ツアー(一部の大会は除く)でも距離計使用できる多くのシーンにおいてプレーファストに大きく貢献していると感じています。このルールが改定されて、まだ4年です。これからも、もっとルールを進化させていく必要があると感じています。

──ちなみに私はGPS距離計、レーザー距離計の二刀流です(笑)。しかしあるプレーの際に両機器ともに電池切れし、いかに距離が解ることが有利であるか、痛感しました。

二刀流? ルールが許しているのだから問題ありません。電池の用意は万全にしたいね(笑)。イギリスでも両方の機種を賢く使い分けているゴルファーが増えてきましたが、私自身は距離計を持ちません。なぜなら私のホームコースはとても風が強く、距離のジャッジは天候次第。自然と打ち解けることが第一のコース攻略であり、何一つ同じロケーションがないからです(笑)。

2019年より日本女子ツアーでGPS距離計の使用が許可され、「イーグルビジョン」を手にするプロキャディが増えてきた。

質問Ⅱ
2022年より競技でのクラブ長さが46インチ以内に
正式採用されましたが、反応はいかがですか?

ルール内で戦える安心感を
多くの選手たちに与えることができました

これまでクラブ長さはメーカーによって計測方法が異なった背景もあり(60度法orヒールエンド法)、多くの機会(とくに競技シーン)で誤解・困惑を与えてきました。2022年より「60度計測方法によるクラブ長が46インチを超えるクラブの使用を禁止する」とプロゴルファー、エリートゴルファー向けのローカルルールを競技運営団体が採用できるようになり、選手たちは自分たちのクラブが“適合”であることに安心感を提供することができました。

──エリートゴルファーの定義はどこに構えていますか?

アマチュア世界ランク10000位までのプレーヤー、日本ではJGA、JGTOの競技に出場するプレーヤーが、R&Aが定めるエリートゴルファーの概念に入ります。

──プロやエリートゴルファーのクラブ長さが46インチ内に制定され、一般アマチュアの48インチ以内と設けられたように、スキルによるルールの差がもっとあっていいように思います。

OK、その通りだと感じます。現状、多くのシーンでその競技に応じた様々なローカルルールが定められています。例えば距離計では、その使用方法のあり方を一般アマチュアとプロやエリートゴルファーで違いをつけることも可能ですよね。ローカルルールはそのシーンにおいてフェアをルールとして提供するために存在しているのです。

60度測定法とは
60度の面にソールを当てて、シャフトの水平面との交差点からグリップエンドまでが正式なクラブ長さである。

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