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フォーティーン「MT-28」は別世界のスピンを演出!

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キュッキュッと止まる!を作り出した激スピンウェッジの先駆者は『背水の陣』だった話

ウェッジといえば、多くのモデルがスピン力を誇示するアピールが定例となっているが、その激スピン文化そのものを作り出したモデルって、皆さんはご存知だろうか。2002年に登場した「MT-28」、フォーティーンが『ウェッジのフォーティーン』として世に浸透した伝説的激スピンウェッジである。

当時、「MT-28」を使ったゴルファーは思い出すことだろう。その別世界だった激スピンは、キュッキュッどころか、“ギュッギュッ”とグリーン面にボールが噛みつくように激しく止まったものだ。まるでボールのカバーをえぐるようなフェース面の摩擦力が象徴的、メーカーには「一発でボールが傷つく」と数えきれないクレームが寄せられたほどに威力が抜群だった。当時の社長であり、日本を代表するクラブデザイナーであった竹林隆光さん(故)に取材を通して話を聞いたことがある。

フォーティーンの創始者であり、クラブデザイナーとして有名な竹林隆光さん(故)には、様々なギア特集で物理的解説を協力していただいた。BUZZ GOLFだけでなく全てのゴルフメディアの信頼を寄せていた。

「沢山クレームのお問い合わせがありましたが、私たちは『申し訳ございません、すぐにフェース面を手直しさせていただきますが、ボールは止まりにくくなりますよ』と対応したら、皆様は『じゃあ、いいよ』と諦めていただけるのが常でしたね」。

「MT-28」は日本男子ツアーで使用率1位を獲得。そしてその別世界のスピンで瞬く間にウェッジ市場を席巻し、まだ未成熟だった単品ウェッジ市場の存在を確固たるものにしたのだった。もちろん他社もそれに追随した。

「スピンに関しては鋭角な角溝の影響が大きかったが、安易にマネをされるのが嫌だったので、ソールの影響が大きい、などと違うところに目を向けさせるのが大変でした(笑)」。

生き残りをかけた会心の企画

爆発的ヒットをマークした「MT-28」だが、この背景にはフォーティーンが背水の陣が挑んだ裏話がある。もともとゴルフクラブの設計OEM会社としてそのノウハウで勝負をしていたフォーティーンだが、時代とともに3次元CADでの設計・デザインが当たり前になり、それとともにノウハウも流出。数字を打ち込めばある程度の形が見えてくるCAD設計が浸透するに従って、OEM依頼はバタリと止まってしまった。設計会社からメーカーへの転機が訪れた瞬間だった。

“自社製品の絶対成功”を余儀なくされた中、ゴルフ市場で成熟していなかったウェッジに着目。「クラブにできることはクラブに任せる」と言う同社のポリシーから、『アマチュアゴルファーでもプロのような憧れのスピンを、ギアで打たせる』と言うテーマを掲げ、「MT-28」の完成に至ったのだ。生き残りをかけた企画、製品精度への妥協なきこだわりなど、まさに会心のプロダクトとなったのだ。

スピンウェッジ文化を創造し、牽引した「MT-28」。

「追随した他メーカーのウェッジも止まるようになり、角溝規制という新ルールが設けられた。自分たちが作ったウェッジがきっかけとなりルールまでに影響を与えた、のは嬉しかったですね」(竹林氏)

「MT-28」のブレークから18年経った今も、フォーティーンは独自の技術でルール内最大のスピン力にこだわり続けている。ちなみに昨年9月に発売されたアマチュアのためのイージースピンウェッジ「DJ-4」には、溝を彫刻するのではなく、鍛造プレス製法で成形する新製法が施されている。製品誤差によって生じるバラツキを限りなく解消できるため、ルールギリギリでエッジの効いた溝、平面精度の高いフェース面の両立を可能にしているのだ。ぜひ、スピンウェッジの進化を感じながら、お試しいただきたい。

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