フォーティーン「TB‐5 FORGED」アイアンが市場で欠品状態が長く続くほどの人気を誇っている。
支持率を得ている理由、それはこれまでのアイアンにはない新構造「シアターブレード」に対する期待感と、それに応える機能が備わっていたことに他ならない。
「TB‐5 FORGED」の完成に至るノンフィクションの開発ストーリーをお届けしたい。
撮影=小林司
写真の完成版モックに至るまで、まだ見ぬ新形状の完成を想像し、やすりで削り続けた日は今から約1年半前だった。
フォーティーンのアイアンはモデル名に冠される数字が機能を象徴する。最もシビアな「9」から「7」、「5」、最もやさしい「3」まで展開されているが、今回ご紹介する「TB‐5 FORGED」は、ほどよくやさしい「5」シリーズに位置する。
「フォーティーンではプロダクトを開発する上で、必ず一人のプレーヤーをターゲットに据えます。今回、やさしさの『5』を軟鉄鍛造アイアンで開発する際に、ターゲットとしたのは、同社営業部の中嶋元でした」。
そう語るのはプロダクト企画を担当する池田純さんだ。池田さんと中嶋さんは同期入社であり、もともとプロゴルファーを目指して同じ釜の飯を食べ、腕を磨いてきた間柄。時を経て、ともに競技ゴルファーを卒業し、フォーティーンの中核業務を担う。ちなみに池田さんはこのクラブが新しい企画チームでの最初の仕事であった。
「軟鉄鍛造アイアンは主に打感の良さを追求するプレーヤーが使います。それは長い間、ゴルフを取り組んできた感覚を満たすものであることは間違いありません。そして『5』シリーズならではのやさしさを創造する際、中嶋のようなクラブにこだわりあるベテランプレーヤーが、余暇のゴルフをやさしくプレーできるモノにしたいと考えたのです」。
ターゲットプレーヤーは明確になった。そして次に取り組むべきはどう機能化していくか。打感と機能のさらなる両立を兼備するために、試行錯誤を繰り返す日々が続く。
「TB-5 FORGED」のターゲットプレーヤーとなったフォーティーン営業部・中嶋元さん(右)と、プロダクト企画担当の池田純さんは若き頃プロゴルファーを目指し、同じ釜の飯で腕を磨いた仲。45歳を過ぎ、やさしいプレーを望む中嶋さんのスタイルを、池田さんがプレーヤー目線で妥協なく機能追求していった。
ただ、プロダクト企画&開発で、試行錯誤という道なき道を前向きに歩めたのは、創設者・竹林隆光さん(故)による“常識を疑え”というフォーティーンに受け継がれる活動姿勢があったからに他ならない。まずは打感向上のためにやさしい軟鉄鍛造アイアンがキャビティ構造である常識を覆し、効果的に部分肉厚を持たせることを開発目標にした。「無茶な要望に応えてくれた開発チームに感謝しています」。
キャビティ構造のトゥヒールの壁を崩した余剰肉厚をソール部に盛り低重心化を機能化。さらにフェース裏側のトゥヒール方向へ周辺肉厚フローさせていき重心距離、重心深度、慣性モーメントを意図的に設計できたと同時に、インパクトの振動を効果的に制御できたことで打感が向上。「TB‐5 FORGED」の機能の要となった新形状『シアターブレード』の完成である。
「『TB‐5 FORGED』は5シリーズというほど良いやさしさと、マッスルバックに通じるような打感と美しさをフォーティーンらしい新発想で兼備することができました。長いキャリアで築かれてきたクラブへのこだわりを満たし、そして今のご自分に必要とされるやさしさでプレーを支えることが、このアイアンの使命です」。
この瞬間、「TB‐5 FORGED」は欠品状態が続いている。企画担当の池田さんが競技ゴルファーで腕を鳴らした中嶋さんをブレないターゲットプレーヤーとし、とことん機能向上を追求して完成に至ったアイアンは、同境遇にある多くのゴルファーの共感を得てヒットに至っているのだ。
SPEC
●ヘッド:S20C(軟鉄鍛造)
●ロフト角:30度(#7)
●シャフト:①FS-90iスチール(S、R)、②FT-70iカーボンシャフト(ワンフレックス)
●価格:①5本セット(#6〜P)121,000円、単品(#5)24200円、②5本セット(#6〜P)126,500円、単品(#5)25,300円 ※税込価格
問い合わせ/株式会社フォーティーン TEL027-387-8760
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