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BUZZ GOLF 2020年9月号 発行
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ゴルフクラブ設計家・松吉宗之とギアライター・高梨祥明が最新クラブについて語り合う“BUZZ DATA LABO”。今回は試打系有識者の間でも「ものすごく飛ぶ!」と話題になっているプロギア『RS JUST』ドライバーを取り上げます!
高梨祥明
たかなしよしあき。元ゴルフ専門誌ギア担当兼副編集長として、あらゆるクラブメーカーの開発中枢を取材してきた経験値、知識を持つギアライター。通称・クラバー。
松吉宗之
まつよしむねゆき。フォーティーンで数々の設計を担当し、名器を世に送り出してきたクラブエンジニア。ジューシーを起業し、クラブ設計とオリジナルクラブ開発製造を手がける。
高梨 最近、素材や構造が注目される新製品が多いですが、『RS JUST』は打った人の多くが、“めちゃくちゃ飛ぶ!”と発信している珍しいモデル。今日はその秘密を明らかにしていきたいと思いますのでよろしくお願いします!
松吉 わかりました(笑) まずシリーズ全体としては“アスリート”、“ヘッドスピードが速めの人”にとっての「最適」をとことん考えて出した答えが今回の「JUST」なのではないかと思いますね。
高梨 プロギアといえば“ギリギリ”狙いというイメージですが、今回は“ピッタリ”という感じなのですね?
松吉 対象ゴルファーのニーズに対して“ピッタリ”に作れば、結果的にギリギリの飛距離性能を引き出しやすくなる、という感じではないでしょうか。たとえばヘッド体積、慣性モーメントの計測結果を見ても、あえてマックスを狙っていませんよね。
高梨 確かに! 慣性モーメントは4600g・㎠以上あれば十分と松吉さんはいつも言っていますが、『RS JUST』も及第点以上の許容性を持たせつつ、操作性を最大限考慮した重心設計(距離・深度のバランス)になっているようですね。
松吉 今回はフェースセンター付近に、重心点・最大たわみ点・最高CT点を集中配置しようというのがコンセプト。外観的にも当てたいところ(フェースセンター)に当てやすいデザインにすることで反発性能を最大化しようという狙いが見てとれます。
高梨 メディアなどで試打をする人たちは皆さん上手い人ですからね。そういう意味では、『RS JUST』シリーズに“ピッタリ”のターゲット。だから好結果連発! なのかもしれないですね(笑)
松吉 スタンダードの『RS JUST』は短めの重心距離で重心角もありますので、比較的つかまりのいい味付けになっています。シャローに振るとかそういうことを考えずに、気持ちよく振ればピッタリのスクエアインパクトできる、そんな感じだと思います。米国ブランドのドライバーでいまいち結果を出せていない人にも合うのではないでしょうか。
高梨 スタンダードがそうだから『RS F』のつかまらない感じがより際立つんですかね?
松吉 『RS F』は結構“逃げ顔”に作ってありますし、構えた瞬間に左は怖くないなって感じがしますよね。これはスタンダードがこうだからということではなく、『RS F』を使うツアープロが何を欲しがっているのか、という視点で作り込んでいった結果だと思います。計測データ以上に左には行きにくいと思いますよ。
高梨 『RS D』はどうでしょうか? やはりガッツリ捕まる系ですか?
松吉 捕まるけれど吹き上がりはしないモデル、という印象です。やはりヘッドスピード速めの人向けシリーズなので、過度にボールが上がるようにはしていない。打ち出し角は自分で作れるから、打ち出し方向だけクラブの力で右に行かないようにしてよ! という人に“ピッタリ”だと思います。
高梨 いわゆるやさしく捕まって上がるという、一般的な“ドローバイアス”モデルではないんですね。
松吉 はい。ヘッドスピードが一般的なゴルファー向けには『LS』や『エッグ』がありますので、そのぶん『RS JUST』は割り切って作ることが出来ているのだと思います。
高梨 ヘッドスピード別に“飛距離マップ”を作り、使い手にピッタリを提供するのがプロギアの基本的な開発姿勢。『RS JUST』3モデルを含め、ブランド全体の中で自分にとっての“ピッタリ”を見つけるようにしたいですね!
取材・構成・文=ポジション・ゼロ
撮影=田中宏幸
取材協力=ジューシー
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