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BUZZ GOLF 2022年9月号 発行
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物理的視点で見ると複雑な要素が重なり合うのがゴルフスイングです。が、プレーヤーがいかにシンプルにその複雑要素を感性として簡素化できるかが大切です。フェースをスクエアに保つ方法としては、肩、腕を結んだ三角定規をねじれなく保つイメージ(実際には違った動きになります)がシンプルですね。
切り返しの感覚はヘッドをトップ位置に置いてくる感覚
ダウンスイングはヘッドから下ろす感覚ではなく、むしろヘッドを置き去りにしてくるイメージ。体の回転を先行させ、一番遅くヘッドが入ってくるようにしながら、手先ではなく身体全体を回転軸としたパワーの源として、円軌道の一番外にスピードを加速させている感覚です。
ゴルフスイング中、ヘッドの所在やフェースの向きをゴルファーはスイング中に管理してナイスショットに導いています。ではスイング中、とくにテークバックからインパクトにかけて、ヘッドが具体的にどういった動きをするか、物理的視点で解説していきます。
正面から見て、ハーフウェイと呼ばれるアドレスとトップの中間地点を境にした下側と上側とではフェースの向きの在り方が異なります。下側のエリアはフェースがボールを向いた状態を管理できること、テークバックではフェースの向きを気にするアドバイスがありますよね。ハーフウェイダウン以降でもフェースは常にボールに対してスクエアであることは物理的にも意識するべきだと考えます。
ですが上側エリアは身体の回転に加えてグリップの握り方の性質やリストコッキングなどの要素が加わるため、フェースがボールを向いた状態に保つのは物理上無理です。この摂理からすると、上側下側、それぞれのエリアでヘッドの動き方は異なります。
わかりやすいのはダウンスイング以降の物理的現象です。切り返しの初動でヘッドはグリップエンド方向、つまりターゲットと逆方向に動き出していきます。この時点でヘッドを無理やりボールに向けて動かしていくと、過剰なカット軌道などを促進させてしまう恐れがあります。そしてハーフウェイダウンで、ようやくフェースはボールを向いてきます。例えばドライバーなどではこの時点でフェース向きをスクエアに戻しておかないと、振り遅れを助長させてしまう可能性があるということです。
それぞれの動きの性質を知っておくと、その時点でどうしなければいけないか、スイングに必要とされる身体の動かし方が理解できてきますよね。
グリーン周りからのウェッジショットが苦手というアマチュアゴルファーは多くいらっしゃいます。 “ザックリ”、そしてそれを嫌がったトップボールというミスを繰り返すうちに、必要以上にインパクトをシビアに感じられているのだと思われます。
まず知ってほしいのは大前提としてサンドウェッジがソールを使うクラブだということです。とくにストロークの小さいアプローチショットでは、ゴルファーが感じるその効果の恩恵はより大きくなってきます。
アプローチショットをわかりやすく例えると、航空機の“タッチアンドゴー”の原理と全く同じです。航空機が着陸した後にそのまま離陸していくことを言いますが、滑走路には必ず後輪から着陸していきます。その仕組みがアプローチショットでも発生していて、ウェッジ後方であるソールから芝面にいち早く触れていくことが、芝上でヘッドを促進させる効果を発揮し、フォローに向かって抜けやすさとなって、ボールをやさしくコンタクトできるのです。
もし搭乗している機体が前方から着陸したとしたら・・・恐ろしくありませんか。ウェッジなら前方部であるリーディングエッジが芝面に刺さってしまい、“ザックリ”になってしまうのです。ウェッジはフェースとソールで形成される楔(くさび)、その刃先から落としていくことがミスの原因を作り出していることを理解しましょう。
航空機は必ず後輪から着陸していきますよね。ウェッジだってソールから着陸させてください。
OK センターよりボール1個左足寄りが目安。
NG 過度に右足寄りにボールをセットアップはザックリを助長しています。
ソール、いわゆるバンス効果を使うことは大切です。まずは“ソールを使う”ということをナチュラルに体感するために正しいセットアップからスタートしましょう。ボール位置は真ん中より1個分左足寄り(右スイングの場合)が目安。“ザックリ”を恐れて右足寄りにセットして上から当てたい、という方こそ顕著にアドレスを修正する必要があります。
ウェッジという言葉はそもそも“楔”(くさび)という意味を持ちます。楔は堅い木材や金属で作られたV字型の道具で、物体の隙間に打ち込んで割る際に用いられますが、ウェッジというクラブの打ち方も、この原理で成り立っています。
先のページではソールのメカニズムをご紹介しましたが、多くのアマチュアゴルファーはフルショット同様にフェース面を強く意識したがります。ですが、ヘッドスピードを必要としないアプローチショットでは、インパクトでボールの表面が潰れないため振っていったヘッド軌道方向にボールが飛ぶ特性があり、フェース面の向きを意識する必要はないのです。
自宅のカーペットやマットなどでトレーニングの一貫としてイメージしていただきたいのは、フェースとソールの楔をボールのどこに打ち込んでいけば、うまくコンタクトできるかを感覚的に養いたいことです。うまく楔がボールの下面に打ち込んでいける感覚が身に付けば、いかなるライでもボールコンタクトが容易に感じられるはずですし、スピンショットのメカニズムも身を持って体感できるはずです。
私はレッスンの際に、様々なタイプのウェッジを持ち歩き、実際にその違いを体感してもらうことを大切にしています。同じ楔を打ち込むのでも、ウェッジタイプが違えば、フェース面を開いたり、あるいはスクエアに構えてもらったり、とソールを効果的に使うための導き方が異なるからです。
楔の鋭さでわかるウェッジの寛容さ
楔が鋭め
インパクトの条件がシビアなタイプです。尖ったリーディングエッジは芝に刺さりやすいため、ソール面の効果を際立たせるために、フェース面を開いて活用する必要があります。
楔が丸め
リーデイングエッジが丸いため、楔が切り裂いていく力が強くなり、インパクトに寛容性が生まれます。スクエアに構えてもソール効果が発揮されやすいタイプのウェッジです。
フルショットと異なり、ヘッドスピードを意図して上げないアプローチショットは、インパクトでボールの表面が潰れないため、振り抜くヘッド軌道が飛んでいく方向を決定づける。ただバンカーショットではフェースとボールの間に砂が入るため、その条件が全てに当てはまらない場合もある。
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