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基本を見つめ直そうシリーズ第13弾「物理的視点のナイスショット考察。byクラブエンジア」前編

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苦手なショットイメージを
いつもと違った視点で克服しよう!

スイングモデル&ワンポイントアドバイス
石井 良介プロ
いしい りょうすけ、人気YouTubeチャンネル「試打ラボしだるTV」ではマシーンのようなスイングで、インプレッションするクラブの性質を弾道で表現する試打スペシャリスト。令和の人間試打マシーン。

ゴルフスイングの理論ははっきり言って難解だ。
いろんなレッスン理論が世の中には存在し、様々な体の動かし方をレッスンで導いていく。
それらにはスイングタイプによって“合う合わない”が存在し、時には私たちゴルファーを
困惑させたりもする。だからレッスンを安易に特集化はできないのだが、よくよく考えてみると、ゴルフスイングとはゴルフクラブを使いこなすために編み出されたもの。だったらゴルフクラブの特性をまずは知ることが大切だ。

今号ではクラブエンジニア・松吉 宗之さんが、クラブの特性をフルに活かすための物理的視点でナイスショットを考察する。ドライバー、ウェッジが苦手な方に新たなショットイメージが開眼できる特集だ。

解説/松吉 宗之さん
まつよし むねゆき。これまで数々の名器と呼ばれるクラブの設計を担当してきたクラブエンジニア。自らのゴルフブランド、ジューシー(株)を起業し、クラブ設計とオリジナルクラブ開発製造を手がける。BUZZ GOLFではDATA LABOで最新クラブのヘッド測定、機能解説を担当する。


撮影=田中 宏幸、小林 司、取材協力=東名厚木カントリー倶楽部

ドライバーを描いてみてください。
どちらを想像しますか?

ボールを打つスポットは
シャフトの延長線上には存在しない

例えばゴルフクラブの講義を行わせていただく場などで、「ドライバーを簡単に絵で書いてみてください」、とアマチュアゴルファーの皆さんにお願いすることがあり、代表的な例として2つの絵に分かれることがあります。

Aは線に対して丸っこい物体が単純にくっ付いている絵。丸い物体はもちろんヘッドを表現しますが、線(シャフト)が中心から生えているもの。ぼやっとしたイメージですが、これはゴルフクラブを正しく表現しているとは言えません。Bは線の先端のサイドに物体をつけているもの、正しいゴルフクラブの表現です。

結局、この絵で知りたかったことは、ゴルファーの皆さんが抱くゴルフクラブの打点の意識です。
ゴルフクラブの特性として覆ることのない事実はシャフトの延長線上にボールを打つ打点がありません。Aとイメージした方は、“シャフトの延長線上で打ちたい”と無意識に感じていて、本来打つべきスイートスポット(重心)を意識できていない可能性があります。正しいBのイメージですが、大袈裟にいうとゴルフクラブはホッケーのスティックと同じ仕組みです。
シャフト先端から突き出たフェースをコントロールしてボールを飛ばす、このイメージがゴルフスイングにも欲しいと私は考えます。

ドライバーは460㎤まで大型化し、シャフト軸からスイートスポット(重心)が14本の中で最も遠い位置にあります。様々なドライバーレッスンは、このクラブの特性を上手く扱うために必要なイメージを皆さんに伝えようとしています。今一度、ゴルフクラブはシャフト延長線上で打つものではない、ということを明確にイメージとしてリニューアルできればスイングアドバイスの真意がより理解できると考えます。

石井プロのワンポイントアドバイス
『手の平で叩く!』

ゴルフクラブはフェース面の向きを意識することで、自然と重心を感じながら振る、というシンプルな感覚が大切です。目の前の物体を右手で叩くなら、右手を背屈させて思い切り叩きますよね。この単純なイメージがゴルフスイングにも欲しい。手の平と面を連動させ、物を叩く、体の回転運動に対して、常にフェース角をスクエアに保っておく感覚を意識してほしいです。

COLUMN
ホッケー経験者は凄く飛ばせる!

松吉さんのアドバイスで、ゴルフクラブとホッケーのスティックは同じ構造であり、それを扱う感覚が似ているとありますが、私も同感です。
レッスン経験の中で、とにかくホッケー経験者は例外なく飛ぶ。潜在的にクラブの使い方が体に染み付いていて効率よくパワーを発揮できているのがよくわかります。

シャフトが長い=打ちづらいを払拭する!
ヘッドプレーンを真上からイメージしてみよう。

シャフトが長くなるほど、正面からのスイングイメージでは窮屈に感じませんか?

石井プロのワンポイントアドバイス
『通ったところをそのまま通す』

私の感覚でドライバーショットは、身体主導のフルパワーでクラブを引っ張り下ろすイメージで振っています。対して1インチ超、長さが伸びた長尺ドライバーは逆にシャフトにあまり負荷をかけないように、つまり余分な力をかけず振ることを意識して、バックスイングで上がった軌道にそのままクラブを下ろしていくようなイメージ、通ったところをそのまま通す、ように振るといいパフォーマンスが出る感触があります。

全ては一般男性目線の平均値で語られる“長さ”

私は長く長尺ドライバーの開発に携わってきました。その飛距離性能は認識されながらも、設計者としてはいつもデメリットに上げられる“振りづらさ”“扱いにくさ”を解消するための性能開発を目指していました。
しかし長尺の在り方は、常に一般男性目線の平均値に対してでしか語られることはありません。身長平均約170㎝に対し、およそ45.5インチがオーソドックスとなり、それ以上は“長い”とされます。ただ身長が150センチ台の女子プロ選手たちは、シャフトを身長に対して短くしているわけではなく、同じ45.5インチを使いこなしている・・・単純な身長対比から言っても、相当長尺ドライバーを振っていることを意味します。

一般的にゴルフスイングは正面からの映像をイメージします。
身長が高ければ長尺でも対応できるが、そうでなければまず長いことが“振りづらさ”を自然と連想させてしまいます。では、スイングを真上から思い浮かべてみてはいかがでしょうか。シャフトが長ければヘッドが通る外周の円軌道が大きくなるだけ、円の中心であるゴルファーとヘッドの関係性をシンプルにできると思います。

長尺ドライバーの最大パフォーマンスを発揮するためには、インパクトエリアを円軌道に近いヘッド軌道で振っていきたい。
真上からヘッド軌道をイメージできれば、最適な運動エネルギーを自然と感覚でつかみ取れ、例えばもう少し軌道をフラットにしてみたり、など自分にとっても最適な振り方が見えて、いいスイング像が出来上がっていくと感じています。

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