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基本を見つめ直そうシリーズ第12弾「レッスン用語のマジックに惑うな」前編

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迷えるゴルファーたちを救うきっかけに・・・。

ゴルフのレッスン用語ってある意味、無責任に感じたりする。
その用語はよく当たり前に使われるが、そもそも用語自体の真意があまり説明されることはない。
わかったような、わからないような・・・、レッスン用語の解釈も人それぞれになり誤解を招いてしまうことも多々あるのだ。
代表的レッスン用語に注目、その動きの意味一つひとつを知り、ゴルフスイング理論における誤解を解決していきたい。

阿河 徹コーチ
あが とおる。サンディエゴゴルフアカデミーやデーブ・ペルツショートゲームスクールで最新スイング理論を学び、数々のトッププロの指導を行うほか、東北高校ゴルフ部のコーチも務める。現在は、東京都世田谷区の井山ゴルフ練習場でレッスンを行っている。


取材・文=田村 一人、撮影=小林 司、取材協力=井山ゴルフ練習場

Ver.アドレスの不思議

前傾の不思議

Q アドレスでは前傾姿勢を保て!と言われています。棒立ちのようにして構えてはいけないのですか?

A 前傾する意味はボールと胸が正対すること、エネルギー効率を高めるためです!

いわゆる直立立ち姿勢はゴルフに向いていません。アドレスでは前傾姿勢を作り、胸をボールに向けるようにしましょう。
それはなぜか・・・ゴルフは球技の中でボールが最も低い位置にあるスポーツの一つで、打つべきボールは地面にあります。地面のボールにクラブのエネルギーを伝えるには、そのパワーの源である身体をボールに向けてスイングプレーンを最適化できる準備が必要なのです。
前傾角度をとるとき、膝を曲げるだけでは、胸がボールと正対しませんよね?一番自然に胸をボールに向けられるのは骨盤から前傾したとき。

「骨盤を前傾させてアドレスしよう」というレッスン用語の意味は、胸をボールに向けるための方法なんです。

NG 直立立ちは胸が正面を向いているため、ボールに力のベクトルが向いていない。

グリップの不思議

Q グリップは柔らかく握りなさい!それはどんな柔らかさですか?

A 目安ですが10が目一杯の場合、1未満ぐらいの力で十分です。

転がしなど飛ばさないショートゲームはしっかりグリップしよう!
飛距離を出すために柔らかくグリップしてクラブの運動量を大きくすることは大切ですが、ショートゲームはその逆です。
距離の短いアプローチに飛ばしは不要。しっかりグリップしてクラブを加速させず、ボールが飛びすぎないようにしましょう。

ゴルフスイングの運動エネルギーはクラブ運動量が大きければ大きいほど、ヘッドスピードが加速してボールを飛ばすエネルギーになり、それを発揮させるにはとくにグリッププレッシャーはソフトにしたい。ゴルフクラブをアグレッシブに稼働させるためには、体とクラブの接点であるグリップを柔らかく握ることは必須なのです。

ではどのぐらいのプレッシャーで握るのか・・・それは人それぞれによって感覚値が異なります。10が目一杯な場合、力みがちな方は0.5などと少々大袈裟に力を抜くためのアドバイスを促しますが、ちなみに私の場合は1未満程度。スイングのリラックスにも直結しているため柔らかく握ることは大切です。

「柔らかく」の基準は素振りにあり
「柔らかく」握る感覚は素振りを目安にすることができます。例えばスイングしてバランス良く立っていられれば、それは適正な強さでグリップしているということ。強めに握って素振りをすると、体が硬直するためバランスを崩してしまうはずです。

Ver.バックスイングの不思議

テークバックの不思議

Q クラブヘッドを30㎝は真っ直ぐ引こう、の意味は?

A 真っ直ぐの概念はプレーン上に沿うこと

「真っ直ぐ引く」ことが、「飛球線に沿ってテークバックする」ことではないことをまずは理解しなければいけません。

意識するべきはスイングプレーンです。

スイング中にクラブヘッドが描く弧がスイングプレーンですが、スイングを後方から見た時に、例えばアイアンならスイングプレーンは60度程度、ドライバーで45〜50度となりますが、基本的にテークバックは、このプレーンをなぞるようにクラブヘッドを上げていくことが大切なのです。「30cmは真後ろに引きなさい」というレッスンが定番ですが、これはスイングプレーンよりも明らかにインサイドにテークバックしている方がアマチュアゴルファーに多いための矯正方法。とくにご年輩の方は、腕力が衰え無意識にインサイドに引いてしまう傾向にあるため、一つの目安としてはOKです。

腕力がないとインサイドにクラブヘッドを引いてしまいがち
プレーンに沿ったテークバックをするには、ある程度の腕力が必要です。特にカギとなるのが左前腕(右打ちの場合)。この筋肉が衰えると、テークバックでクラブを支えることができず、無意識のうちにクラブをインサイドに引いてしまいます。日頃から左前腕の筋肉はトレーニングしておきましょう。

トップポジションの不思議

Q オーバースイングがNGと言われるのはどうしてですか?

A オーバースイング=不安定要素に直結しがちだけど・・・

オーバースイングになっていると、左腕が伸びていない時と同様、スイングの最下点が安定せず正確にボールを捉えることが難しいからです。
また、オーバースイングの場合、ダウンスイングでコックが早く解け、インパクトの前にクラブが減速してしまう状態も助長します。
オーバースイングの場合、必然的に身体の右サイド(右打ちの場合)がリリースポイントとなりがちで、インパクトが安定しない他、左右へのミスなどあらゆる問題の要因となってしまいます。ただオーバースイングでも上手な方はいらっしゃいます。ゴルフキャリアで身につけた技術として否定はできません。

グリップエンドを下ろすように

グリップエンドが目標方向に向くのはNG(コックが解ける)

腕を伸ばせ!の不思議

Q トップまで「左腕を伸ばせ」の意味を教えてください。

A 腕単独の動作を減らすため

左手を伸ばすことは、スイング弧が安定させることに直結して、ボールを正確にインパクトできるメリットがあります。
左腕が緩んだ状態だと腕単独を操作しやすく、またスイングの弧の大きさも変わってしまうので、安定感に欠けてしまいます。また、「左腕を伸ばす」という表現は「左腕は伸ばされる」の方が適切と言えます。バックスイングで、左手首が親指側に折れてリストコックされると、グリップエンドが目標の反対側を向き左腕は自然な動作で伸ばされます。

柔軟性がなければ左腕を曲げるのもアリ
体の柔軟性を欠いている場合、左肘を無理に伸ばすとトップがうまく作れない、あるいはトップが小さくなる場合、左肘を曲げてトップを作ることもアリです。トップが深くなりダウンスイングの助走距離が得られるのでヘッドスピードが上がって飛距離に有利です。左肘を伸ばすべきか、曲げた方が良いか、ゴルファーによって出力を出すための方法論は異なって当然なのです。

左腕が伸びたトップ

左腕が曲がったトップ

右肘角度にも注目!
スイング中は、左腕だけでなく右腕にも注目してください。左手首をリストコックして左腕が伸ばされた状態のとき、右肘はあまり曲がっていないことに気が付くはずです。右肘が曲がりすぎると、左腕が伸びた状態にすることは不可能です。

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