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今月のゴルフ愛 最後の一滴「ジェダイの騎士」

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待ちに待った映画が公開される。米国で公開されてから1年余りが経過していた。「ロードショー」に「スクリーン」と映画誌を何冊も買い、LP版のサウンドトラックを聴いては気分を盛り上げた。公開に先駆けたレイトショーのチケットが手に入った。折り悪しく、中学に入って初の中間テストを翌週に控えていた。怒っている母親に泣きついた。梅田の北野劇場の前まで車で迎えに来てくれた母が「おもしろかった?」と・・・。

「スターウォーズ」の思い出である。

エビアン選手権で勝利した古江彩佳プロが「May the Force be with you」と自らを鼓舞してプレーしたことが勝利に繋がったと語った。劇中のジェダイの騎士が乾坤一擲の大勝負で集中力を高めるために使う言葉である。若い彼女のインタビューを聞きながら、セピア色の情景が思い浮かんだ次第である。

黒沢明をオマージュするジョージ・ルーカスは、刀のアクションをはじめ、日本の要素を映画に散りばめた。この言葉が持つ思想もその一つだろう。アメリカ映画では、本人の意志に関わらず、先天的に空を飛ぶ能力を有し、後天的にクモの糸を噴出するような異能者がヒーローとなることが多い。ジェダイの騎士は、強靭な意志で過酷な鍛錬を克服しなければならない。そこから悟りを啓いた少数が先人に認められてジェダイとなる。

「フォース」とは、自己の能力と、彼を支える人達の力が相乗されて発揮される。故に「共にあれ」である。古江プロはそんな理力を信じて闘ったのだろう。

「人事を尽くして天命を待つ」という言葉もある。出来ることを尽くすことが天の意志に近づくと解釈すれば少々叩いたとて良しである。「人間万事塞翁が馬」と達観するのもいいし、「Let it be」は大好きだし、「ケセラセラ」とダボの後に笑い飛ばすのも良い。ちょっとした努力を僕らも大切しているのだから。

 

内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF 主筆

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