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渋野日向子プロが使用するアイアンシャフトの正体|フジクラ「TRAVIL」(前)

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渋野日向子プロをはじめ、女子ツアーで複数人の選手たちが使用開始しているという黒いカーボンシャフト、その名は「TRAVIL(トラヴィル)」。
ツアーレベルでのアイアンショットに本当に必要とされる弾道をシャフトでサポートするために生まれた新シャフトだ。

※渋野日向子は3月の「LPGAドライブオン選手権」から「トラヴィル」を採用した。

どんな条件においても
狙ったエリアにボールを止めるために
必要な弾道落下角をキープできる
シャフトを創りたかった──。

新アイアンシャフト「トラヴィル」の発想は、今から約4年前にさかのぼる。
ツアー選手のサポート時にプロコーチが指摘したキーワードが全てのきっかけだった。

PGAツアー選手は
落下角度50度をキープして
グリーンにボールを止めている

ゴルファーであれば誰もが認める世界最高峰の舞台、PGAツアー。そこで活躍するトッププレーヤーたちはパワー、技術ともに難フィールドを攻略できる超スキルを持ち、全てのツアー選手が目指すべき境地にあると言ってもいいだろう。昨今、世代交代で若き選手たちが台頭する日本男子ツアーでも、PGAツアーを指標としたパフォーマンス向上に余念がない中、フジクラシャフトで日本男子ツアーをサポートする飯田浩治さんは、とある担当選手とプロコーチがアイアンショットのスキルアップについてディスカッションする場に直面する。

「ボールが思うように止められないのは落下角度が足りないから、PGAツアーのトップ選手たちは50度をキープしている」。

速く硬い難コンディションのグリーンを攻める際、意図したエリアにボールを止めることができない選手に対してプロコーチが発した言葉だ。

「シャフトメーカーとして、理想のショットパフォーマンスをサポートできるプロダクトはできないものか、どのようなインパクト条件が実現すれば、落下角度を緩やかにできるのか・・・理想のシャフト像を見据えて検証の日々がスタートしました」(フジクラ・飯田氏)

古江彩佳は4月の「JMイーグル・LA選手権」から「トラヴィル」を使用。優勝争いを展開して4位と、アイアンショットの精度に磨きがかかっている。

緩やかなヘッド軌道で
ロフト機能を維持させる
理想のインパクト条件

弾道落下角度を緩やかにするには、わかりやすくさらなる高弾道が要求される。アイアンショットにおいてそれを成し得るための従来までの一般論は、スピン量を増やすことだ。いわゆるアイアンショットの代名詞であるダウンブローをさらに追求することである。しかし検証の結果、スピンが増えても落下角度には好影響を及ぼさないことがわかる。

「ダウンブローが強まれば、アタックアングルが強まるため、インパクトロフトが減少します。ボールを潰して打てばスピン量は増加しますが、縦距離精度が安定しないし、選手たちはそういう動きをするシャフトに“振りづらさ”を感じました。本当に必要なのは理想的なスピン量で飛距離を落とさず、弾道を高く上げるためのインパクト条件であり、それはダウンブローではなく緩やかなヘッド軌道がなし得るものだと判明しました」。

ツアー選手たちとのテストを重ね、数十タイプのプロトタイプの中から“最高に振りやすい”と評された1本が、丸4年の月日を経て完成した「トラヴィル」である。80g台から110g台までラインナップを揃え、今季から男子、女子両ツアーでサポートが開始されたが、とくに女子ツアーでは渋野日向子プロ、古江彩佳プロ、高橋彩華プロ、新垣比菜プロ、野澤真央プロと、シーズン中でありながら即採用する選手が続出した。

TRAVIL企画担当
藤倉コンポジット(株)
飯田浩治さん
日本男子ツアーをサポートし、選手たちの信頼が厚い。飯田さんはこれまでも「スピーダーTR」などツアーニーズでプロダクトを企画した実績を持つ。

ここでしか話さないプロダクト企画・開発の本音

これまでカーボンアイアンシャフトは、“スチールシャフトらしさ”を追求せざるを得ない状況がありました。それは長い間、あまりにも定番シャフトの使用選手が多かったからで、カーボンシャフトメーカーとして、新たなものを必要とされないジレンマがあったのは確かです。しかし現在の選手たちは、その定番シャフトらしさを求める意見がほぼ皆無になったのも事実です。皆が自らのプレーに有利なギアを求める時代だからこそ、アイアンカーボンシャフト「トラヴィル」は時代が必要としたプロダクトだと言えます。

写真=田中宏幸、中根朋美、aflo

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