1. HOME
  2. 連載
  3. 今月のゴルフ愛 最後の一滴「仕事とゴルフ沼」
連載

今月のゴルフ愛 最後の一滴「仕事とゴルフ沼」

連載

1457年、スコットランドでゴルフ禁止令が発せられたのは、イングランドとの領土戦争の最中である。「GOLF」が記載された最古の文書と言われる。同じ頃、日本では応仁の乱から始まる戦国期に突入しようとしていた。地球が小氷期に向かうなか、食糧収奪戦が世界中で勃発していたようだ。ゴルフにウツツを抜かすとはナニゴトぞ!と為政者ならば言いたくもなろう。しかし、不確実な時代だからこそ、人は娯楽を求める。禁止令は何度も発せられた。ゴルフはヒートアップし続けたのである。

1502年、イングランドとの戦争が一服した直後にゴルフは解禁された。当時の王、ジェームス4世自身がゴルフにハマっていたのである。その後、ゴルフ禁止令が発せられることは無かった。現在の日本の国家公務員倫法に基づく規程を除いて…。

翻って、現代は? 相も変わらず、世界の危機は消え去らない。経済圏争いは世界を分断しつつ、どころか、昨今はAIの覇権をめぐり、仮想現実の世界でも勢力争いが拡大している。一方、我々は日々小さな世界で奮闘している。その合間を縫って休息のゴルフである。と言いたいが、この沼に一度はまれば休息はない。あーでもない、こーでもない… とカラダを揺すりながら、理想のスイングと球筋を妄想する。「商談」というビジネスの場では週末のゴルフと最新のギア談義に花を咲かせる。そんな奴らほど仕事がよく出来る。そう感じるのである。多くは、努力の在り処や原理原則の究明に向かう好奇心に溢れている。時に少々ワガママな方に出会うこともある。が、プレースタイルから滲み出す真剣な向き合い方を知れば誰であれ可愛らしく見えてしまう。

ゴルフに限らず、仕事も趣味も真正面から向き合い、好奇心を持ち続ける姿が人の魅力を創り上げる。王自らが禁じたゴルフに自らハマリこむ。これも人の魅力と思えば是非も無し。

 

内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF 主筆

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。