フォーティーンの哲学 〈 アイアン編 〉｜01

プロゴルファーのための開発では進化を形にできない。
アマチュアゴルファーのために機能を徹底追求したアイアンだからこそ、全てのプレーヤーが享受できる確実な進化へと導ける。

開発テーマは創業から変わらない・・・
誰か一人のプレーヤーのための
クラブでなければならない。

フォーティーンのクラブはどのモデルも美しさがあり、そして時代のトレンドに左右されない独自性がある。
オリジナリティでゴルファーを魅了するそのクラブたちはどうやって生まれてきたのだろうか。

竹林氏が自らをターゲットプレーヤーに開発したという「TC-660」（2003年）。鋳造製法のメリットを駆使し、低重心かつ深重心を追求。長く使いこなしても維持できる美しさにも徹底的にこだわったという。

開発イズム・語り 中嶋元
なかしまげん、2001年入社。「MT-28」などツアーサポート用のクラブ組み立てを担当した後、営業部へ転身して現在に至る。竹林氏が担当していたプロゴルフ協会のクラブ講義を受け継いで数年講師を担当した。

プロ向けのクラブでは
新たな進化を生み出せない

ゴルファーにベストな14本を提供する。それがフォーティーンの社名の由来だ。この機会に知って欲しいのは同社があらゆるクラブパフォーマンスにおいてパイオニアとなる機能を編み出してきたメーカーであることだ。その象徴の一つが重心理論、クラブがプロや職人の感覚による曖昧な機能表現しかできない時代、狙った性能を実現させる為に機能を“数値化”させたのが始まりだった。もう一つが中空構造を世に送り出したメーカーであること。ボールの上がりやすさ（低深重心）を追求して、アイアンの構えやすさとウッド機能のやさしさを兼備させた、常識に捉われない開発精神の賜物だ。

「フォーティーンが最も大切にしている開発ポリシーは、“誰か一人のプレーヤーのため”のクラブでなければいけないこと。そしてそのターゲットプレーヤーは例外なくアマチュアゴルファーでなければならないこと。ショット技術に秀でたプロゴルファーに向けた開発では、アマチュアゴルファーが必要とするクラブの正しい進化はできない、というのがフォーティーンを先導した創業者の答えでした」（中嶋氏）

創業者は竹林隆光氏、クラブの進化を牽引してきた日本を代表するクラブ設計家である。

中空アイアン「HI-858」は日本ツアーでヒット。2002年には全英オープン制覇に貢献。プロ向けのクラブに思われがちなユーティリティアイアンだが、実はアマチュア向けにやさしさを追求されたモデルである。「ショートからミドルはキャビティ、ロングを中空構造にしてやさしさを追求したのが『HI-858』。構造別の組み合わせは、今流行りのコンボセッティングとして完成されていたアイアンでした」。

プレーシーンに必要とされる
クラブを発想し続けること

ウェッジが有名なフォーティーンだが、アイアンにおいても様々なヒットモデルを生み出し、昨今ではアイアン＝フォーティーンという新たな価値観が定着している。フォーティーンのアイアンの魅力を築いているのは、時代のトレンドに決して左右されない、プレーヤー目線のぶれない開発スタンスがあるからだ。

「竹林は多くのアマチュアゴルファーとのプレーの機会を通して、実際ラウンドでプレーヤーが欲する・救える機能は何であるか、いつも現状にはない次世代の開発テーマを見出していました。その発想はいつも斬新、トレンドを追いかけることは一切ありません。今のフォーティーンでその役目を継承するのが企画部の池田純、長谷川楓弥。三人に共通するのは日本アマに出場経験あるエリートゴルファーであり、プレーヤー目線という立場でパフォーマンスを追求できる正しい着眼があるということ。すべての実戦において彼らの同伴プレーヤーとなっていただいたアマチュアゴルファーの一挙手一投足のプレーシーンがフォーティーンのクラブ開発における源泉になっているのです」

フォーティーンは“アマチュアゴルファーに一番近いメーカー”であることを絶対とする。時代を切り開くモデルは常にリアルな現場から生まれているのだ。

たけばやしたかみつ（2013年没）。1981年にフォーティーンを創業。クラブ設計者として重心理論や中空アイアンなど世に送り出し、数々のヒット商品を手掛けてきた。日本オープンローアマなどプレーヤーとして輝かしい戦績を残している。