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BUZZ GOLF 2022年10月号 発行
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2010年、世界に勝負をかけたプロダクトが発売された。「N・S・PRO MODUS³」、日本シャフトが誇るアスリートシャフトだ。その地位を確固たるものにしている2020年、今の地位を獲得するために絶対必要だったPGAツアー戦略を成し得たスペシャリストの仕事っぷりをご覧いただきたい。
写真提供=日本シャフト
私が日本シャフトの一員となったのは2008年。アメリカでのシェア拡大を目指し渡米していた沖田サン(沖田 暢善さん・日本シャフト常務取締役)との出会いがスタートでした。
当時まだPGAツアーでプロモーションを行っていなかった日本シャフトは、アメリカでの存在感はないに等しかった。そこでツアーレップを探すことが急務だったのです。私だけでなく数人のレップ経験者と面談をしていた沖田サンは、1年で人の使用者獲得を命題としていたようですが、「そんなにあまいもんじゃない!ただ3人は確約する」、と正直な思いを伝えました。
私は日本シャフトに入る前にPGAツアーで年のレップ経験があり、様々なパーツで選手たちと細やかなコミュニケーションを交わし信頼を築いてきました。その経験上、“あまくない”と。とくにアイアンシャフトはセットでシャフトをチェンジしなくてはならず、信頼を得るのに時間がかかるというのは容易に想像できたからです。
そんな私の忖度なしの対応を信頼し採用してくれた沖田サンの気持ちに応えたかった。
製品力の賜物として、この10年の間でPGAツアーでの日本シャフト、そして「モーダス3」の存在価値を確固たるものにできました。
日本シャフトの優れているところ、それはひとえに高度な開発技術にあります。正直私もスタッフの一員となる前は、日本シャフトの詳しいことは知らなかったのですが、関わってきたエンジニアたちは、日本シャフトの技術を称賛し、もしPGAツアーに参画してきたら、絶対に突出すると口を揃えていたことを覚えています。
いざ一員になると、駒ヶ根工場(長野県駒ヶ根市の開発拠点)の技術は非常に心強かった。
今から年前、PGAツアーでのスチールシャフトは定番モデルしかない状態でした。その定番モデルは優れているのですが、全てをカバーできているとは言えず、そこにパフォーマンスを発揮するシャフトを投入することに日本シャフトの勝機があった。
私は一部選手の過多なスピン量をどうにか抑えられないか、といつもあるべきシャフト像を思い描いていました。答えとしては先端を硬くすること。しかしそれだけではシャフト全体が硬くなりすぎるため、中間剛性を落とす必要があったんですが、それをスチールでできるかどうか・・・。
そんな私の心配は皆無、日本シャフトは私が理想と思い描くEI(剛性分布)を持つスチールシャフトを、忠実に「モーダス3 ツアー120」でカタチにしてくれた。このチームはシャフトメーカーとして、どこよりも優れていると感嘆したものです。
日本のスタッフたちは、当時では特殊すぎるEIの「モーダス3 ツアー120」のパフォーマンスに心配をしていたそうですが、PGAツアーでは今や定番の存在となり、日本シャフトの技術力を世界にアピールする象徴になっていると私は思っています。
スピンを抑えるために必要な先端剛性の硬さ、そして振りやすさを演出する中間剛性の柔らかさをうまく両立させたのが「モーダス3 ツアー120」です。正直、スチールでこの挙動を機能化できるのか疑っていましたが、見事なまでの完成度で実現してくれた。あまりにも特殊な挙動だったのか当時、日本のスタッフたちは、パフォーマンスと販売を心配していたようだけど(笑)。今や日本シャフトが世界に誇るストロングシャフトの象徴そのものとなり、4つの「モーダス」の中でもPGAツアーではいまだ一番の使用率を誇っています(リー・オイヤー)
私が選手たちといつも定番にしているコミュニケーションがあります。それは飛んでいくボールの結果を心配するなと。「モーダス3」を装着した選手は明らかに距離感と方向性、精度が格段にアップしますからね。君たちはいいスイングをするだけでいいんだと、冗談まじりな本気のメッセージをいつも彼らに送っています。
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