ギア

辻村明志コーチが徹底するスイングの”姿勢”

2022.11.25

レッスン
ツアープロコーチ辻村明志さん
つじむらはるゆき、1975年生まれ、福岡県出身。江連忠に指導法を学び、王貞治を育てた荒川博氏に師事し、ゴルフ指導にも取り入れている。“チーム辻村”として上田桃子、吉田優利、松森彩夏らをサポートし数々の勝利に貢献するほか、プロテスト合格を目指すアマチュア選手をサポートする。

スイング模擬六車日那乃さん

辻村　一流の選手たちに共通しているのは、“姿勢”の良さです。強い選手たちはみんな、歩き姿が正々堂々としているし、スイングフォームだって見た目にも大きくクラブを振っている。ですがツアーで戦っている選手であっても、調子が悪くなったり、連戦で疲労が溜まると背中が徐々に丸くなってフォームが小さくなりがち。そんな状態を正すために背中のシャツを掴み、背筋を伸ばすこと、背中を意識させることを注意喚起しているのです。

――背中が丸い、すなわち猫背気味になるとスイングにどういった影響を及ぼしますか？

辻村　猫背が全て悪い、というわけではありませんが、上半身が丸まるということは自ずとボールポジションが遠くなります。それでなくてもゴルフスイングはクラブや手の動かし方など主に身体の前方に意識が行きやすく、上半身が丸まりがち。ボールが遠くなるから遠心力によって、手が単独で動きがち。“手打ち”を助長することになります。

――ツアー選手でも“手打ち”になってしまうのですね。

辻村　はい。ゴルフスイングに手の感覚は必要以上にいらない。そのためには背中の広背筋を使う（肩甲骨を寄せた状態）ことが必要。背筋が伸びると手の位置は自然に身体との同調感が生まれ、上半身の回旋運動を主体にクラブを振っていけるのです。

――いいスイング感覚を喚起させるために背中のシャツを掴んでいたのですね。

辻村　その通り、レッスンツールとして取り入れているのは『ジェリーショルダー』（朝日ゴルフ）。背中をチューブでサポートすることで肩甲骨を寄せた状態に矯正し、姿勢を正したうえでスイング練習に取り組んでいます。フルショットはもちろん、腕と身体の同調感がさらに大切になるアプローチ、パッティングでも効果的です。

――ずばり、そこまで〝姿勢〟を意識している一般アマチュアゴルファーはいませんよね。

辻村　なかなか拝見したことがありません。コーチングしている選手全員にいつも注意喚起しているのは“姿勢”の良さ。スイングの姿勢だけでなくプレーに対する姿勢、ゴルファーとしての姿勢の心がけを大切にしているのです。