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今月のゴルフ愛最後の一滴 「ゴルフ場の幽霊」

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同じ景色を見ても、連想する光景は世代によって変わるようだ。たとえば、「怖い」と感じる情景も世代によって随分と異なる。若い人にとっては、ゾンビやモンスター、あるいはテレビ画面の奥から這い出す貞子…は少しオッサン寄りの光景かもしれない。

 一方、我々アラカン以上が感じる怖さは、少々の湿りを帯びている。井戸のそば、墓場の陰、そして柳の下。そこに白い着物の女の影がユラリ…。これだけで、十分に怖かった。カートに乗ってセカンド地点へ向かう途中のこと。じめっとした空気の淀む池の横に差しかかったときだった。

 「ほら、池の横に柳が生えてるやろ…」

 友人のTが、静かに柳を指さし、語りはじめた。その日、Tは四十代から六十代のオッサンたちに加え、二十代の若者と共にラウンドしていたという…。
 「朝から雨が降っててな、空も暗うて、風もないねん。せやのに、柳の枝だけが、ゆらぁ~っと揺れてるねん…」
 そう語りながら、Tは両手を胸元に持ち上げ、手首から先をダラリと垂らしてみせた。
 「あの柳の下にな…出るらしいで…」
 Tは若者の目をじっと見つめた。見つめられるほどに、彼の目は大きく見開かれ、真顔でこう言ったそうな…。

 「マ、マジっすか! カ、カンガルーが出るんすかッ!」
 一瞬の沈黙のあと、彼らを乗せたカートは揺れに揺れたとのこと。
なぜ笑われているのか分からない彼は、ふてくされて「ほな、何が出るいうんですか!?」と言ったとか…。

 緑が鮮やかになる季節。ゴルフ場には、幽霊よりもカンガルーのほうがよく似合う。若いモンの発想力。そして、カンガルーを信じ切る力。まんざら捨てたものではない。

 世代の違う者同士が、一日を共に歩くからこそ見える景色もある。若いモンについ人生を語りたがるベテラン世代の我々も、柳の下にカンガルーを重ねるくらいの陽気さと発想力は、見習った方がいいのかもしれない。

 

内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF 主筆

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