2025年を彩った万博は、いまや遠い記憶の出来事。「無駄」という批判が集中するなかで始まった万博も、ウキウキとした感覚を残しつつ終宴を迎えた。文化を牽引する熱とは、“効率”の真逆にある“無駄”から立ち上がるものかもしれない。
未来に視点を移せば、WBC予選や名古屋で開催されるアジア競技大会、横浜の花博は控えているものの、続く熱狂系ナショナルイベントが見当たらない。招致の動きも静かなままで、日本全体の熱量がスッと冷めてしまったような寂しさを感じる。
Vol.157では若い世代のゴルフ観に触れた。「コスパとタイパの悪い遊び」と言われると、事実だけに、やるせない。道具・ウェア・プレー費・交通費と、プレーに必要となるコストは決して軽くない。
朝五時に起き、帰宅は夜遅くなる日もザラにある。どころか、上達するには年単位の時間を要する。それでもゴルファーたちは集い、ボールを追って芝の上を駆けまわる──。“無駄”の中で生まれる人と人との関係が、ときに時空を超えて何かを再生し、また新たな何かを生み出す。それも面白さである。
そんな場所に身を置くとき、人は時間を失うのではなく、むしろ時間を大切に思うようになる。質素倹約は美しい。しかし、これだけを目的にすれば新たな発見は限られる。好奇心に突き動かされた人は、気づけば時間やお金を費やしてしまう。でも、その積み重ねに小さな喜びを感じた瞬間に灯がともる。灯から立ち上がった熱はやがて人の力となり、人を活かす。
万博を象徴した大屋根リングも、合理性だけで見れば無駄だろう。しかし、その“無駄”に賭けた人たちの思いが、訪れた人の心に「万博」という記憶を刻み付けた。
昨年の記憶に残る僕のゴルフは……人生の師匠の前で決めた大逆転のロングパットに、一拍置いて響いたあの大きな笑い声……という話こそ、どうでもいい。
BUZZ GOLFは今年、創刊15周年を迎えます。皆さまに感謝しつつ、皆さまのゴルフ人生に小さな灯が届くだけで僕らは幸せです。今年も、ゴルフのある時間を楽しみます。
内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF 主筆
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