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今月のゴルフ愛 最後の一滴「ゴルフ60年、人生の内にクラブ振ればぁ~♪」

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一里は何キロ?と問えば、「4kmぐらい?」と答える人が多かろう。知らなければ「さぁ?」であるが、よく知る人も「さて?」となる。

日本が開国するまで、一里は、人が徒歩で半刻(約1時間)に移動出来る距離を表したとのこと。命を賭して旅をした時代である。定量的な距離よりも、登り下りなど道程の難易度を考慮して時間軸寄りに距離を定義したことは、里だけに理に叶っている。

アイアンのロフトが番手毎に決められていないのは、この「里」の概念に似ている。

‘22年度のT社のカタログを眺めれば、7番のロフトは、27~35度と、実に8度の差がある。仮に1度あたり3ヤードの飛距離差があるとするならば、24ヤードの違いとなる。ストロングロフト化(ロフトを立てる)は、番手以上の、謂わば「見栄の飛距離」の実現…と思われがちだが、そう単純なものでもない。

俗に言う、ノーマルアイアンは、打ち出し角、スピン量など理想的な数値の実現に加え、打感や音、顔などの感性的な要素が濃くなるにつれ、レガシーな業物が多くなる。一方、距離を求めてロフトを立てれば、比例して正確なヒットは難しくなる。メーカーは、ボディを複雑に加工し、ウレタンやタングステン等の異素材を組み合わせて、ミスヒットに強い設計を施す。

「ゴルフ60年、人生の内にクラブ振ればぁ~♪」とゴルフを謳歌し続ける先輩ゴルファーに出会うことも珍しくなくなった昨今、「人生」という長大な時間軸を見据えて「7番=140ヤード」を生涯基準として各メーカーが鎬を削るならば、「見栄」は影を潜め、人の極限の能力を引き出す壮大な挑戦領域が浮かび上がってくる。

尤も、用具ルールという制度の定義も考え直す時期かもしれないが…。

内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF主筆

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