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今月のゴルフ愛最後の一滴「玄関を出たその先に。」

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 「弘法筆を選ばず」とは、達人なら道具を問わず、優れた成果を出せるという意味である。とはいえ、弘法大師・空海が筆に無頓着だったとは思えない。毛質や硬さ、穂先を見極め、書に応じて使い分けていたに違いない。

 書写が中心の時代、文字は後世へ写し継がれる原型となり、次代へ思想を運んだ。一文字の曖昧さが、教えそのものを変えかねない。正確に伝える使命感。誤ってはならないという畏れ。その狭間で空海は筆を走らせていたのかもしれない。そう考えると、「美しい」とされるそのカタチが、勇気の痕跡にも見えてくる。

 達人は結果に責任を負うからこそ、道具を選び抜く。料理人や職人も然り。最高の一打を求めるゴルフの達人が、道具にこだわるのは当然である。では、我々アベレージゴルファーは?

 「弘法にも筆の誤り」という。達人でさえ時には失敗する。ならば、我々がミスるのは当然だ。一打ごとにスイングをツギハギし、偶然のナイスショットを「今日イチ」と喜び、その感覚を記憶に留め、再現を目論む。だが、次の「今日イチ」が出ない。

 「あと10ヤード!」「右へ行くな!」「1メートル、入って!」・・・そんな願いを抱くと、道具に目が向かい、BGの頁をめくる。だが、何が自分に合うのか分からない。

 考え方を変えるには気付きが、カラダを変えるには時間が、スイングの安定には不断の努力がいる。ならば、道具選びの達人に見立ててもらうのがいい。

 頼りない技術のすべてを補う道具などない。それでも、自分に合うと思えた一本は、ミスを少し小さくし、次の一打への勇気を呼び起こす。失敗しても「道具のせい」と「人のせい」という二つの逃げ道まで残される。新しい道具への期待が、次のラウンド、次の一打を楽しみに変える。道具に思いを託すこともまた、ゴルフの醍醐味である。

 達人への道は遠い。でも、ゴルフショップへと続く道は、玄関を出たその先にある。

 

内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF 主筆

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