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今月のゴルフ愛 最後の一滴「the U.S.A.」

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薄暗いホテルのくたびれたソファに座りテレビを観ていた。テーブルには、スーパーで選んできた3人分のデリカボックスが並んでいる。大統領就任演説を終えたばかりの彼が、次々に大統領令に署名していく。そのボールペンを掲げ持ち、傲岸不遜な表情で観衆に向けて放り投げる。まさに彼の独壇場だった。一方、日本では、新首相が所信表明演説を行ったのは就任から18日後のこと。形式とはいえ、このスピード感でいいのだろうか?

コロナ禍以来のアメリカ出張だった。出発時に心配されたLAの大火災も到着時にはほぼ鎮火し、ハリウッドサインも機上からクッキリ見えた。宿泊地への道すがら、ホットドッグ屋さんに立ち寄る。普通のホットドッグにコーラとポテトをシェアして3人で9,600円! 我が財布から煙が上がった。ちなみに、冒頭のデリカは締めて17,000円。これが普通の価格らしいが…。

CNNでは、女性キャスターが深刻な表情で「不要不急の外出は控えてください!」と呼びかけている。歴史的な冬の嵐が米国南部のヒューストンを銀世界に変え、PGA SHOWが開催される常夏のオーランドも凍らせた。同じ日、大統領は二酸化炭素排出規制を訴えるパリ協定からの離脱を宣言した。何をか暗示しているのだろうか?

米国では、若者ゴルファーが増加し続けている。プレースタイルの変化が、若者を呼び込んでいるらしい。マグネット付きのスピーカーをカートの金属バーにくっつけて、HipHopをフェアウェイに響かせて疾走する。かつて爆音を鳴らし街中を爆走していた若者たちの姿に重なる。多様性で考えてみれば、四季を愛でる日本人でも対応できる…?

タイガーとマキロイが『TGL』なるワイワイ楽しむゴルフリーグを発足させた。伝統は大切だが、変化もまた重要。『GREAT』を目指す国家に立ち向かうのは『楽しい日本』。僕が望むは、常識的価格感でホットドッグを楽しく食べたいだけである。世界は動いているゾ。

 

内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF 主筆

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