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今月のゴルフ愛 最後の一滴「勇気をもってコトにあたる。」

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「砂上の楼閣」。外観は素晴らしくとも、脆い砂の上では長くはもたない。基礎が大切だ、という例えである。

ゴルフの醍醐味は、今日のラウンドをベストラウンドにすべく、大叩きせぬようコツコツとスコアを積み上げるところにある。グリーンを狙ったショットが上手く打てたとて、「砂上の球」となれば台無しの危機に直面する。「基礎技術を身に着けろ」は本質だが、我々素人ゴルファーのバンカーショットは、ラウンドで土台を作るしかない。
フェードと称するには無理のあるスライス球がバンカー付近に落下する。「入ってませんように」と小走りで神に祈る。アゴにかかる斜面に白き反射。球なのか? 昨日ふらりと寄った神社でお賽銭を入れずにお祈りしたことを思い出した。「小銭を持って散歩しよっ」と砂に深く突き刺さる球を前に反省するも、この状態はドカン!と打つだけだから諦めも早い。

問題は、平坦な砂上にキレイに乗っかっている球である。起死回生の逆転劇が浮かび「砂イチや」と邪心が溢れて声となる。構えに入る。すると、砂からモソリと這い出るゾンビたち。悪いイメージが手足に絡みつく。フェースを開き、モゾモゾと足場を固めるのは、奴らを踏み潰し、覚悟を決めるためでもある。カッ! っと超高速で飛び出す大飛球を一掃し、アゴを越える気力なくタラタラと足元に戻り来る球を掃滅する。

ズバン! ふわっと球が上がれば心地は良い。だが、思いは悪い方で実現してしまう。反対側にあるバンカーの存在に気付いたのは、同伴者の「止まれぇぇ! あぁぁ…」という気遣いの声であった。次は往復ビンタの無限地獄の恐怖が待っている。

敬愛してやまない経営の神様である稲盛和夫氏は言った。「勇気をもってコトにあたる」と。卑近ではあるが、これほどゴルフに適した言葉はない。

BUZZ GOLF 主筆
内本浩史
(うちもとひろし)

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