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ガッテン! 意味がわかると自信に繋がるゴルフクラブの真価な話(後)

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ゴルフクラブ最強の機能用語
“慣性モーメント”

ドライバーの飛距離の変遷を語る上に、ヘッドの大型化の進化は外すことができない。
その進化とともに歩んできたのが、最強の機能用語「慣性モーメント」である。

芯を外しても
曲がりを生じさせない
慣性モーメントの力

若い世代はあまり馴染みがないだろうが、ドライバーは素材進化によって、この30年あまりで急速に飛距離アップを実現させてきた。柿の木を使用したパーシモンから反発性能に優れるメタル(金属)に変わり、軽くて硬いチタンへと素材進化を遂げる。さらに軽くて硬いカーボンをチタンと配合した昨今の最新型へと進化を辿ってきた。素材進化がもたらしたのはヘッドの大型化、そしてそれが及ぼす最強機能用語の〝慣性モーメント〞の進化である。

「ヘッド体積が約180cm3だったパーシモンでは慣性モーメントは約1800g・cm2と小さく、糸巻きボールと相まって弾道は曲がることが当たり前でした。芯をわざと外して打ちギア効果を利用してボールを曲げるテクニックを上級者は駆使しました。そして大型化によって慣性モーメントが飛躍的に高まった。最新型はヘッド体積が460cm3、慣性モーメントも平均4500g・cm2前後と増大。少々芯を外しても曲がりを生じさせないため、飛距離ロスを及ぼしにくくなりました」(松吉氏)

ただし、残念ながら最強の慣性モーメントが及ぼす影響は、一定の機能値まで高まると収束してしまう性質がある。

「慣性モーメントの恩恵は4300g・cm2を超えると収束、それ以上はあまり変わらないというのが事実わかっています。しかし多くのメーカーが大慣性モーメントの優位性をアピールして5000g・cm2超をキープするは、横打点だけでなく上下の打点ブレにも強くできるメリットも期待できるからです」(松吉氏)

パーシモンやメタル初期のドライバーは、芯を外せば20ヤードも曲がっていたのが、最新型ドライバーは数ヤードも曲がらない。慣性モーメントの進化は直進性の強さそのもの。私たちが芯を外した?と疑ったミスショットが、フェアウェイをキープでき、OBにならないのは、最新型ドライバーが持つ高慣性モーメントの賜物なのだ。

高慣性モーメントに
影響度を抑制された
“ギア効果”

ギア効果という機能用語がある。芯(重心)を外した時にボールに与える物理的効果だ。トゥ側に外すとボールはフック回転を、ヒール側に外すとスライス回転がボールに与える。同じく上下打点においても上側はバックスピンが減少し、下側はバックスピンが増える。ただしギア効果は最新型ドライバーの高慣性モーメント性能によって、その効果自体が抑制されているため、あまりメーカーカタログで使われることがない。

Column
アイアンショットこそ
慣性モーメントの
恩恵を授かりたい

例えばキャビティバック構造や中空構造などを駆使して慣性モーメント値が2500g・㎠以上で機能化されたアイアンは、プレーヤーにとって“やさしさ”にフィードバックされる。芯を外した時に飛距離ロスを抑制し、狙ったエリアに届かせてくれる力があるのだ。ただプロが愛用するシャープ形状のマッスルバックアイアンは2200g・㎠と慣性モーメントは小さめ。芯を外せば飛距離がロスするのは明らかだが、プロたちは芯で的確に打てる確かな技術があるからその弾道操作性を優位に使いこなせるのである。

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