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BUZZ GOLF 2020年9月号 発行
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メイン特集のDATALABOでもお届けしてきたが、最新型ドライバーはどれも高性能でやさしく飛ばせるモデルばかりだ。
ところが中井学プロによると、飛びに悩むアマチュアゴルファーは最新ドライバーと「険悪状態」でその性能を生かしていないという。
中井プロの導きのもと、最新ドライバーと仲直りして飛ばしに目覚めましょう。
レッスン担当:中井 学プロ
1972年4月14日生まれ。アメリカでの留学時代に、ゴルフ理論を独学で吸収して帰国。
ツアープロ、アマチュアへのコーチングとともに自らもツアープレーヤー(2015年プロテスト合格)として、積極的にツアーに挑戦している。
取材・文=田村一人、撮影=田中宏幸、取材協力=こだまゴルフクラブ
DATALABO、見応えありましたね。どの最新型ドライバーも飛距離に有利な高性能なモデルばかりで、購入意欲が高まるばかりです。
ところが・・・。
断言します、最新ドライバーのメリットをフルに享受しているのは私たちプロゴルファーです。メーカーはアマチュアゴルファーのために機能向上をさせているはずなのに何故か。
その原因は、多くのアマチュアゴルファーと最新ドライバーは「険悪状態」にあるからです。
最新型ドライバーは、ヘッドそのものにボールをつかまえ、上げる機能が十二分に備わっているのに、アマチュアゴルファーの皆様は残酷ですがそれを殺してしまうスイングをしてしまっています。
つまり、ヘッドの機能を全然生かせていないのです。
それはメディアを通してレッスンを担当する私たち側にも一部は責任があります。多くのレッスンで伝えられているキーワードに誤解を与えてしまう可能性があるからです。
例えば、最近はスイング中の体重移動を最小限にしろ、とアドバイスがありますが、私たちプロは動いていないように見えて体重移動は実際、アグレッシブに行い、体全体のパワーをうまく使っています。
ただ言葉が与える誤解は、体重移動そのものを矯正させてしまうことになり、体が動かない分、腕を積極的に動かして無理やりボールを上げて飛ばそうとする、一番やって欲しくない動きを助長させてしまいます。
これでは最新型ドライバーの機能とゴルファーのスキルはリンクする以前に険悪状態、残念ながら台無しというわけです。
でも、安心してください!これから「仲直り法」をお届けします。ぜひ、これを参考に最新型ドライバーで飛距離アップを実現させましょう。
ドライバーを購入したのに思うように飛ばない
=最新型ドライバーと戦闘状態なスイング
=ヘッドのパワーに逆らって飛ばない
最新ドライバーとの関係が険悪状態にある典型的な例が、この写真のようなアッパーブロースイングにあります。
ギアがつかまりやすくて上げやすくなっているにも関わらず、自分の力でボールを無理矢理上げようとする動きは、アドレス時の前傾姿勢をキープできず、過度なアッパー軌道でベクトルが飛球線ではなく上側を向いてしまいます。
ヘッドが求めるベクトルと大きく異なるため、飛ばしに絶対的に不利です。
主な要因は、手が積極的に動いてしまうことにあります。手打ちスイングだと右手がフリップする、つまりすくい打ちを助長させてしまうからです。
ヘッド体積が小さなドライバー(パーシモンやメタル時代)だった頃は、飛ばすためにはヘッドターン(フェースローテーション)のパワーも必要でした。
また高重心だったためアッパー気味なスイング軌道のインパクトも必要としたのです。
しかし近年、最新型ドライバーの最大の特徴は、深重心かつ長めの重心距離が主流となっており、手を返すヘッドターン動きは必要なくなりました。
とにかく手を無意味に使うスイングを止めることが、最新クラブとの戦闘状態を解消するカギなのです。
プロゴルファーは飛距離アップしている
=最新型ドライバーとシンクロしている
=体の回転運動の中でシンプルに振り抜いている
最新型ドライバーとの関係を良好にするためには、最新型ドライバーが求めるベクトルにスイングを合わせていく必要があります。
最初に紹介した写真とこの写真のスイングの違いは、前傾姿勢がインパクト以降までキープされており、力のベクトルが上方向ではなく飛球線を向いていることです。
最新型ドライバーの性能をフルに生かすには、ボールを上げにいくという動き、そして意識は皆無。
向かうべきスイングの方向性は低いライナーで打っていくような意識をまずは持つことからスタートさせましょう。
インパクトはスイングの上昇軌道にある、あくまで通過点であるべき。プレーヤーがボールを上げるというマインドはかえって邪魔にしかなりません。
しつこく言いますが最新型ドライバーには、ボールを”つかまえる””上げる”といったパワーを備えています。
だから不必要な手の操作はいらない、体の回転運動の中でオートマチックにクラブを振るだけでボールはぶっ飛んでいきます。
コメディアンのムーディ勝山さんのように「右(バックスイング)から左(フォロー)に受け流す」くらいの気持ちでOK(ほんと古くてすみません!)。
このシンプルな動きこそが、最新型ドライバーとシンクロできる飛距離を出す理想的なスイングなのです。
ヘッドが300cm³にも満たない小型だったドライバーは、重心が高くて浅いものばかり。飛ばすためにはややアッパーブロー気味かつ、ヘッドを返すスイングを必要としました。
だから打ちこなすには相当なスキルが必要だったのです。
しかし、最新型に代表される現在のドライバーはヘッドが大型化して低重心・深重心が当たり前。
ボールを「つかまえる」「上げる」のは完全にヘッド性能の仕事になりました。
言い換えれば飛ばすパワーがあるドライバーを、力づくで扱おうとしないことが最新型ドライバーと仲良くするコツなのです。
最新ドライバーとシンクロするスイングのポイントはズバリ、ビンタ!です。もちろん人をビンタすることなど、そうないとは思いますが、目の前で平手打ちすることを想像してみてください。
振りかぶる時には、右手は甲側に折れ、その角度をキープしたままで平手打ちをされるはず。
振り抜いた平手はその後、惰性で右腕が内旋していきますよね。これが正しいローテーションの正体。野球で言えばピッチャーがボールを投げた後に手の平が外側を向くことと同じ現象が起こります。
最新型ドライバーで飛ばすためには、この要領と同じような手の動きをする必要があります。
具体的にはテークバックの始動でヒンジコックを活用すること。甲側に折れた右手首の角度をキープしたまま、ダウンスイング〜インパクトを行うことで、スイングのビンタが完成するのです。
スイングは前傾角度を保つことが必要、とされていますが、その真実はヒンジ&コッキングをキープしたまま、ハンドファーストにインパクトを迎えるためです。
このビンタの動きが表現できれば、スイングパワーのベクトルが飛球線に向かい、最新型ドライバーのポテンシャルをフルに発揮することができるのです。
正しいコッキングの原理は、「ヒンジ&コッキング」と言われ、アメリカでは当たり前にその名称で呼ばれています。
蝶つがいのように右手の甲側に折っていき、この角度をキープした状態でスイングしてインパクトするのが、いわゆるハンドファーストを意味するのです。
インパクトロフトを正しくキープでき、パワーのベクトルが飛ばす方向に働いて、飛距離を稼ぐことができるのです。
ヒンジコックでは右手首を甲側にヒンジさせます。トップでのフェース向きはスクエアになります。
ヒンジコックすると左手は親指側に折れます。トップでのフェースの向きはクローズになります。
スイング中に前傾をキープしないと、本来クラブはボールに届きません。前傾がほどけても空振りしないのは、手で振ってボールに合わせている証拠。
ヒンジコックを保つことは、前傾をキープすることそのものでもあるのです。
スイング中に前傾をキープさせるために効果的なのが、タオルを両脇に挟んでスイングするドリルです。
こうすることで両腕の自由度がなくなり身体でスイングすることが可能。同時に前傾姿勢を保てるようになります。
BUZZGOLFと共同開発した練習器具「マナヒンジ」は、右手にヒンジの動きをサポートして、ヒンジコックのコツを掴むことができます。
身体の前でクラブを持ち、手首を親指側にコックさせシャフトを立ててみてください。そこから飛ばす方向に力を入れることはできますか?難しいですよね。
しかし、身体の前でクラブを持ちヒンジコックすれば、飛球線方向に力をかけるのは簡単なはずです。
つまり「クラブを立てる」ことは正しい動作ではないのです。
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