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ガッテン! 意味がわかると自信に繋がるゴルフクラブの真価な話(前)

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\なぜボールを真っ直ぐ飛ばせるの?/
\なぜボールを高く上げられるの?/

私たちが普段使っているゴルフクラブには、企画・開発に携わったメーカーのエンジニアの思いがこもっている。
その思いはメーカーのニュースリリース、カタログ、ホームページで発信されているが・・・。
クラブ用語は重心、慣性モーメントなど物理用語が機能表現の手段として飛び交っている。
わかるような、わからないような、そんなもどかしさを解消するために今号ではクラブ用語を紐解く真価な話をお届けしよう。

解説/クラブエンジニア
松吉宗之さん
まつよしむねゆき、これまで数々のプロダクトの設計を担当し、特にウェッジで新たなムーブメントを起こしてきたクラブエンジニア。現在はジューシーを起業してオリジナルクラブの開発製造を手がける。

まず大前提として……

クラブパフォーマンスとは
ロフト角毎に対して、ヘッドスピードによる
プレーヤーの個性を補う性能であること。

30度の境界線で
求められる
重心性能は異なる

最初に“飛びの三要素”という言葉をお聞きになったことはあるだろうか。その要素とは「初速」、「打ち出し角」、「スピン量」であり、クラブフェースとボールが接触するインパクトの瞬間に、弾道の初期条件としてこの三要素が発生するのである。クラブの性能、そしてボールの性能がプレーヤーの個性にマッチして最適な三要素の条件を生み出すことが、番手毎の最大飛距離に繋がるのである。

「飛びの三要素の条件に直結しているプレーヤーの個性はヘッドスピードにあります。ヘッドスピードが速ければインパクトの力は大きいためロフト角毎に対して三要素に大きな力が加わることでボールを上げることに有利であり、そうでなければ三要素の発生力が減少していくことでボールは上がりにくくなる。ゴルフクラブにはターゲットとなるプレーヤーに対してこの力の差を補うクラブの重心設計が求められているのです」(松吉氏)

クラブの重心設計とはクラブの個性そのものと言える。重心が変われば物理的にインパクト条件は変わるのだ。

「ヘッドスピードに関わらずに誰もが打ちこなせるロフト角の境目が30度であり、6番アイアン〜8番アイアンとモデル毎でその境界線は異なってきます。30度以下のクラブはボールを上げるために必要とされる重心設計を、30度以上のクラブにおいてはボールをコントロールするために必要な重心設計を、と同じクラブであっても用途によって求められる重心設計は異なるのです」(松吉氏)

クラブの基本的な能力を知る上で、大前提として知っておきたいボールの上がりやすさの30度の境界線。アイアンではいかなる番手がこの境界線にあるか、そして今の自分(ヘッドスピード)によってどんなクラブが必要であるか、自ずと機能用語から察することができるだろう。

例えば
ショートアイアンの重心設計
ショートアイアンはロフト角が大きいこと、またロフト形状の特性上、自ずと低重心になりやすいため、ボールが上がる条件が揃っている。重心設計ではボールを上げやすくするのではなく、ボールの打ち出しをコントロールできるように重心を意図的に高く設計することが求められている。

例えば
ミドルアイアンの重心設計
ボールの上げやすさの境界線である30度に当たるミドルアイアンでは、ターゲットプレーヤーを見定めた打ち出し角度が得られる重心設計が求められる。ヘッドスピードが速いアスリート向けモデルは操作性を、ヘッドスピードが一般的なプレーヤー向けモデルは上がりやすさが設計されている。

例えば
ロングアイアンの重心設計
ボールが上がりにくくなるロングアイアンでは、それを補う上がりやすさを機能化する低重心設計が求められてくる。ボールの上がりやすさとして重心の深さも重要になってくるが、アイアン形状では限界がある。ボールが上がりにくい、と感じたら深重心特性を担うユーティリティやショートウッドを選びたい。

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