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レッスン

基本スキルを正しく知ろう! パッティングコーチが教えてくれた! 私たちがまだまだ知らないパッティング

レッスン

撮影=小林司 取材協力=KOSHIGAYA GOLF CLUB

明らかに、俺たちは
パッティングでスコアメイクに
苦しんでいる!?

パッティングはスコアの約40%も占めている。
ボールを飛ばすショットとは違い グリーン上でボールをシンプルに転がす動作に、どうして私たちは苦労してしまうのか・・・
今回は積極的に競技に挑戦する上級者と、安定した100切りを目指す皆さん、
悩みの境遇が異なる2人のアマチュアゴルファーをツアーで大活躍中のパッティングコーチがレッスン。

レッスン担当
パッティングコーチ
橋本真和プロ

はしもとまさかず、1984年10月17日生まれ。最新パッティング理論、機器に精通し、最先端のパッティング技術研究者。男女ツアーをサポートし、数々の選手の好成績に貢献する。

インパクト直後、
ボールは無回転で跳ねている。

読者の皆様は、パッティングで転がされたボールがどのような動きをしているかご存知ですか? 「そんなの簡単、グリーン上をコロコロ転がっているんでしょ」と、答える方が多いのではないでしょうか。しかしストローク中、ボールは目に見えない条件で転がっていることを、この機会に知っていただきたいです。

まずインパクトした瞬間、ボールは無回転で跳ねます。なぜ、無回転となるのか。それは、いかなるグリーンでもボールは芝の上に沈んでいる状態にあります。ストロークのインパクト直後では芝に沈んでいるボールをパターのロフト角で拾い上げる際に起きる現象なのです(※グリーン上の芝の長さとパターのロフト角の関係性で、その現象の距離は異なります)。グリーンコンディションに一切左右されない無回転距離の発生する目安は打つ(狙う)距離の10%ほど。例えば、3mをカップインさせるために約3・3mのストロークをすると考えた場合、インパクト直後33㎝くらいボールは地面から浮いているのです。

ボールが順回転で転がり出すのはそこから。グリーン面の抵抗により減速して行くというわけです。インパクト直後の無回転状態では、ボールはラインに関わらず曲がらないということ。インパクト直後から曲がるイメージでラインを読むと、大きなズレを生じさせる原因となりがちです。

フック・スライスは円弧ではなく
ストレートに狙う

フック・スライスに関わらず、曲がるラインはインパクト直後からボールが曲がるラインをイメージしていませんか? とくに下りのラインは顕著。でも実際は打ち出されたボール、転がす距離に対して最初の10%はラインに影響を受けないので、インパクト直後に曲がることはありません。カップまでのラインを円でイメージするのではなく、あくまで曲がるラインの頂点に向かって、ストレートに仮想ターゲットを狙うように意識してください。

アマチュアゴルファーの
悩みを解決!
上級者編

CaseⅠ
肥野竜也さん
BUZZ GOLFでもおなじみ、多くのメディアでモデルとして活躍する肥野竜也さんは、常にゴルフに全力一生懸命。撮影の際には集合の2時間前に登場し、練習に励むのは当たり前。ゴルフ関係者もその向上心は見習うばかり。ベストスコア68、ハンデ1.2。目指すは日本ミッドアマ出場だ。

助けて橋本コーチ!

私はカップまでの距離感をジャストタッチで、コロッと入るイメージを持っているのですが、この半年ほど、いまいちラインが合わない。これまでなら切れていたはずのラインなのに、ボールは切れずにそのままカップの真横でピタリと止まるケースが度々・・・。ラインが読めなくなったのか、インパクトが強いのか、ボールの回転が変わったのか・・・ 一体なぜ!?

上級者ならではの
“癖”が不安定要素!?

L字パターを好まれる肥野さんの場合、テークバックでフェースを開き、インパクトでスクエア、フォローで閉じていく“フェースの開閉”でボールをコントロールしています。その打ち方自体はOKですが肥野さんの場合はその動きが過度になり、ストローク中にシャフトまでをローテーションさせてしまっています。

そして肥野さんはラインよりも左にセットアップする癖があります。それはアウトサイドインの軌道でトゥヒットさせ、わざとボールに当たり負けを生じさせて右サイドに打ち出しているから。アライメントと軌道を相殺してストロークの方向性を管理しているのです。言うなれば上級者ならではのテクニックですが、じつはストローク自体には不安定要素が多く発生するため、転がり方も不安定になりがち。グリーンの状況次第では、イメージ通りにタッチを合わせられない状態にあるのは間違いありません。

橋本コーチの見解!
トゥ側でインパクトしてますよ!!

解決策!
全てのゴルファーに伝えたい
セットアップの約束事!

パッティングスタイルは“百人百様”、スタイルは人それぞれですが、必ず実践してほしいセットアップの“守り事”があります。それは前腕とパター(シャフト)を一直線にして構えること!

例えばハンドダウンに構えると、肘と手首の二箇所に角度が発生し、この状態で身体の軸に合わせてテークバックすると、パターはストロークプレーンに対してアウトサイドに必ず上がっていく、肥野さんはこの例に当たります。

逆にハンドアップした構えでは、パターはストロークプレーンよりインサイドに引かれていきます。つまり、グリップに対して前腕の上下位置が、パターの軌道を不安定にさせてしまう原因なのです。スイング同様、パッティングもプレーンに沿ってパターを自然に動かすことが大切。これを実現するには、前腕とパターが一直線になる構えが絶対なのです。

POINT
ヘッド軌道はライ角が作るもの

パターはピン型、マレット型などタイプに関わらず、後ろに引けば自然とライ角に合わせてフェースが開き、フォローで閉じていくものです。「インサイドに引いてフェースを開いて」や、「真っ直ぐ引いて」などの意識は不要。グリップエンドを支点にし、身体の前傾角度に合わせてストロークすれば、パターのフェース面は自然と長く正しくスクエアに動いてくれます。

before
ハンドダウン気味に構えていた肥野さん。原理原則としてテークバックでヘッドはアウトサイドに上がりやすい。

after
シャフトと腕が一直線になった肥野さんのセットアップ。パターは自然にプレーンに沿って動くようになる。

やってみよう!
セットアップの正しい順序

身体の横で両腕を90度に
おぼんを持つイメージで
外旋させてみましょう

手首のみを内旋させてグリップし、
パターを身体の正面に持ち上げてください

パターを胸の前に持ちこの状態を維持したまま
パターをセットアップの位置まで下ろします。
胸が支点の振り子でストロークが可能になります。

NG
多くのアマチュア
ゴルファーは
ヘッドを
持ち上げがち

POINT!

▼身体の前傾角度は、浅ければパターをインサイドに動かしやすくなってしまい、屈みすぎるとストレートに動かしやすくなるので、パターのライ角に合うちょうど良い自分の角度を見つけましょう。

注意!
「肩、腕、手首の六角形を崩さないように!」という教えがあるがそれは理想とは真逆。腕を内旋、手首を外旋の構えは、腕が抜けたストロークになってしまい、フェースアングルも狂いやすい。身体とグリップエンドまでの距離も変わるので、パターの正しい振り子運動ができなくなる。

POINT!
ハンドファースト、ハンドレイトの度合いがパター軌道に影響します。

▼ハンドレイト気味にセットアップするタイプは、パターのヘッド軌道は直線的、どちらかというとアウトイン傾向に動くため、フェースの開閉が抑えられた深重心のマレットタイプを選びましょう。

▼ハンドファーストに構えるとパターをインサイドに引きやすくなるため、フェースの開閉がしやすい浅重心のピンタイプなどがおすすめ。

アマチュアゴルファーの
悩みを解決!
ビギナー編

CaseⅡ
ガッデム竹田さん
BUZZ GOLFの営業マン。先日のラウンドは本人会心の100。日々、崩れてしまう自分のゴルフに落胆し反省するが、一晩明けたらその反省は見事に忘れてしまっている。

橋本コーチ!助けてくれへんか!

パットが大事いうのは十二分にわかってんねんけど、いつまでたっても3パットが止まりまへんねん。とくにロングパットになると距離感が合わず、ショートしたりオーバーしたりの連続。一体、どないしたらええんやろ?

ガッデムさんは、100切りに苦しまれている多くのアマチュアゴルファーの典型のようなパッティングフォームをされています。その典型としては、狙っていくターゲットラインに対して肩のラインが左を向きやすい傾向にあること。理由はカップが気になっていたり、フォローでボールとヘッドを目線で追いかけやすい態勢を自然と作ってしまっているのです。

左サイドへセットアップがずれると右上腕を被せがちになり、右腕自体がラインより前に出やすくなって、カットするようなストロークを助長します。方向性や距離感がストロークの結果として生かされない原因です。

橋本コーチの見解!
ターゲットラインに対して
肩はスクエアに!

解決策!
距離感
+イメージの法則

ロングパットの距離感が冴えない、またはノーカンになってしまう場合は、ダイレクトにカップまでの距離をイメージしてはいけません。距離感をプラスさせていくイメージをぜひ実践していただきたい。
練習グリーンでは狙う距離を三等分にします。一番手前の距離に合わせて素振りで距離感をイメージしたら実際にボールを打つ、これを順番に一番遠い距離まで繰り返します。

ラウンド時には、三等分をイメージした手前、真ん中、本来の距離に合わせた素振りを順番に行った上で、ストロークにトライ。ノーカンだったロングパットの距離感に、打つべき感覚が生まれるはずです。

比較的近くの距離は誰もが合わせやすい、ただ遠くなればなるほどタッチを出せなくなるもの。徐々に距離感覚をプラスさせていくことで、ロングパットのタッチをイメージしやすくできます。

ロングパットは
いきなりカップまでを
イメージしたらアカン!

POINT!
テークバック➡フォローまでは同じテンポで!

安定したテンポがいい距離感を生む!

スマホアプリのメトロノームで90BPMのテンポでストロークリズムを作り上げましょう。テークバックの速度とダウンとフォローの速度は均一です。具体的にはテークバックに0.65秒かけ、ダウンスイングに0.35秒、インパクトからフォローまで0.3秒という割合。ゆっくりテークバックしたのに切り返しを速くしたり、小さくテークバックしたのにフォローを長くしたりすると、距離感が狂いやすくなります。

COLUMN
ボールをコロコロ替えるな!

ツアーの世界では、時折、それまでパッティングのスタッツが良かったのに翌シーズンになって大きく数字を落とすプレーヤーを見かけます。ストロークが変わったわけでもないのに、どうして? パッティングの調子を落とすとプロ・アマ問わずパターを替えたがりますが、同じギア視点ではボールの特徴もパッティングの感覚には大きく影響します。例えば同じモデルのボールでも、後継モデルになるとフィーリングが異なることがあるのです。皆様に推奨したいのは、自分に合ったと感じるボールが定まったら、ラウンド毎で替えないことです。

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