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BUZZ GOLF 2024年6月号 発行
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飛距離、正確性・・・・・・
ショットスキルはもちろん大切だけど、それをこなせる健康状態でいることはもっと大切。ということで今号のレッスン企画はベストパフォーマンスを発揮できる身体状態を作り出す“食トレ”の話。
何気なく食べているその食事が冗談なく大切なあの1打の運命を左右してしまう・・・・・・
明日のゴルフのベストプレーのためにご一読を。
モデル=肥野 竜也、撮影=田中 宏幸
協力=米原ゴルフ倶楽部
食がどれほど大切か、身近なダイエットのお話を例に出します。ダイエットの80%は運動ではなく、食事で決まると言われています。例えばショートケーキ1個を運動で消費するには2時間以上ウォーキングする必要があります。一方の“食トレ”の考え方では、消費カロリー>摂取カロリーの食事制限だけではなく、日々の些細な「食べ方」によってもアプローチできるのです。
時間栄養学では15時が一番太りにくい時間帯だとわかっており、「食べる時間」を工夫するだけでもダイエットになります。また「食べる種類」を選ぶことでもダイエット効果を高めることができます。同じ甘い物でも、お菓子と違って、焼き芋や果物には糖質だけでなくビタミン・ミネラル・食物繊維も含まれています。同じカロリーでも種類や組合せによって、食べた物を体脂肪として蓄えるか、エネルギーとして燃やせるかの差が出るのです。
さらに「食べる量」からもアプローチできます。空腹ストレスからのリバウンドは意志の弱さが原因ではなく、ホルモンの正常な働きによるものが引き起こしていることもわかっています。つまり、ダイエットは我慢ではなく、いかにストレスを溜めずに“食トレ”を取り入れるかが重要なのです。『いつ、どれだけ、何を食べるのか』を考えることが“食トレ”であり、日常生活の健康とゴルフパフォーマンスの充実に直結していくのです。
食べるトレーニング、“食トレ”。それはアスリートのためのストイックな食事ではなく、誰もが簡単に取り入れられて、パフォーマンスに最も影響を及ぼす食のトレーニング方法だ。
ゴルフの“食トレ”は、残念ながら『これ』を食べたらすぐにベストスコアに繋がるというものではありません。なぜなら、栄養素はそれぞれが複雑に作用しあって働いているからです。つまり、栄養のバランスさえ整えば、ゴルフのパフォーマンスがアップできるのです!期待できる効果はまず疲れにくい身体になれること。日々生活から体質が変わっていくため、練習の質が上がり、筋力も増え、怪我もしにくくなることが期待できます。メンタル面でも集中力が高まり、睡眠の質も良くなります。多くのゴルファーにとって“食トレ”を気にする気にしない、つまり良質な食事がもたらすゴルフへの好影響は計り知れないのです。
疲れやすい、いつも眠い、身体が重い、肩や腰が痛い、手足が冷える、頭がぼんやりする、集中できない。このような小さな不調に慣れ過ぎていませんか・・・。体調に不安のないスッキリした状態でのプレーを想像してみてください。どんな素晴らしいプレーができましたか?『最高のコンディションは、最高のパフォーマンスを生み出す』、これこそ、“食トレ”がスコアアップにつながる所以です。
いしまつゆり。管理栄養士、数々のトップアスリートたちをサポートする食トレのスペシャリスト。著書の「過去最高のコンディションが続く最強のパーソナルカレー」(かんき出版)はアスリート必携の1冊だ。
さてラウンド当日の朝を迎えました。起床して移動、スタートするまで、いつ、どんな“食トレ”をすればいいのでしょうか?
食べた物は胃腸で消化吸収されてはじめてエネルギーとして使えます。つまり“食トレ”では、朝食での栄養補給はプレー開始時間から消化にかかる時間を逆算して考えます。理想はプレー開始3時間前に食事を終え、直前はドリンクやバナナのような即効性エネルギー源の補給だけで済ませたいところ。ですが、プレー3時間前の朝食が難しい場合は、できるだけ早めの食事摂取を心がけるだけで十分です。
何を食べればいいのか?主食・主菜・副菜・味噌汁・果物をバランス良く食べて、きちんと栄養が揃っていれば、食べた物をしっかりエネルギーとして燃やすことができます。ゴルフ場でのレストランの朝食は、“食トレ”の理想系である『和定食(米飯、味噌汁、焼魚、野菜小鉢、果物、乳製品)』を選びたいですね。品数の多い定食は自然と必要な栄養素が揃いやすいのです。
とはいえ、自宅の場合、和定食は朝からハードルが高い。おすすめの簡単朝食が納豆ごはんです。納豆は1品だけでタンパク質・食物繊維・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂取できるスーパーフードで、朝の快腸習慣もサポートしてくれます。余裕があれば、温かい味噌汁をプラスして、腸を目覚めさせてあげましょう。
また、コンビニフードも選び方次第で優れた“食トレ”になります。コンビニでバランスよく“食トレ”するためには『主食(糖質)+主菜(タンパク質)+野菜(ビタミン・ミネラル・食物繊維)』を意識して食べることが基本です。おにぎりやサンドイッチには単品で全ての要素が含まれている商品もありますし、お弁当やお惣菜を組合せてバランスメニューにするのもいいですね。野菜が少ない時はカットフルーツを、主菜が少ない時はプロテインドリンクや豆乳、乳製品(ヨーグルト・牛乳・チーズ)をプラスしましょう。
撮影でお世話になった米原ゴルフ倶楽部の和定食は『米飯、味噌汁、焼魚、卵小鉢、納豆』とバランスのいい“食トレ”が可能だ(1,100円(税込))。
グイッと一杯、いきたいところはわかりますが・・・夏場はとくに我慢!
一つ確かなこと、それは食後には消化に莫大なエネルギーを費やします。血流も脳から胃腸に集中するため、ぼんやりしがちなのは、これが理由です。だからこそ後半のスコアを崩したくない方は、ランチは消化の良いものを腹八分までにしておくことが大切です。
では何を食べればいい“食トレ”になるのか?具体的に消化の良いものとはどんな料理でしょうか?定番の和定食の他、鮮度のいい海鮮丼も消化が良いのでおすすめです。逆に消化負担が大きいカツカレーや天ぷらは控えておきたいところ。スタミナ補給の厚切り肉ステーキはナイフで小さくカットして、よく噛んで食べましょう。また、これから暑い時期は冷やし中華やざる蕎麦も人気ですが、胃腸を冷やし過ぎるとさらに食欲が落ちてしまいますので、温かい飲み物を摂るなどの工夫をしましょう。
食欲のない場合には麻婆豆腐やスパイスカレーもおすすめです。スパイスの香りには消化促進作用があるため夏場でも食べやすく、またスパイスの発汗作用のおかげでクールダウンが期待できます。ただし、ルウカレーは消化がよくないので、スパイスカレーがあれば、ぜひトライしてみてください!
夏場はとくにビールを飲みたい・・・ただアルコールは脳の神経系に作用して運動感覚を鈍らせ、身体を思い通りに動かしづらくします。ごく少量の摂取だけでも集中力や判断力、視力などの低下が見られます。ベストスコアを狙う日のプレーは、ノンアルコールビールで我慢しましょう!
またプレー中に集中力を切らさないための補食でエネルギー切れを防げます。推奨している即効性のエネルギー源はバナナと麹甘酒です。アスリートフードの代表とも言えるバナナは、ミネラルも豊富で脚がつりやすい人にもおすすめです。水分とエネルギーを一度に補給できる甘酒は夏の補食にも最適。消化の良い糖質とアミノ酸を多く含む他、糖質をエネルギーに変えるビタミンB群が豊富な点でも優れています。
夏場のゴルフは脱水症・熱中症にも注意しましょう。喉が渇いたと感じる時は、すでに水分不足状態でパフォーマンスは低下しています。喉が渇く前にこまめな水分補給を心がけ、気持ちをリセットしたい時はドライフルーツやナッツ、ガムなどを食べてみましょう。咀嚼にはストレス発散や脳を活性化させる効果があります。
成長期を過ぎた私たち大人の疲労回復食は、『何を食べるかというよりも、食べすぎないこと』の方が大切です。プレー後はしっかり眠ることを最優先に考えましょう。そのためには寝る時間までに夕食の消化を終えていることがポイントになります。
夕食で食べ過ぎたり飲み過ぎたりしてしまうと、睡眠中も疲労回復ではなく消化にエネルギーを費やしてしまうため、翌朝もダルく重い目覚めを迎えてしまいます。疲労の蓄積は病気やケガに繋がります。肩が痛い、腰が痛いと身体が悲鳴をあげる前に・・・仲間たちと楽しく飲みたい気持ちをぐっと抑えて!プレー後に限らず日常生活でも食べ過ぎず、飲み過ぎず、しっかり眠る!こと。とてもシンプルですが疲労回復には効果絶大ですので、ぜひご体感ください。
冒頭でお話しした通り、“食トレ”はとてもシンプルな日々の「食べ方」の工夫です。毎日の生活習慣の中に少しずつでも意識して“食トレ”を取り入れていくことで、あなたのコンディションは必ず変わります。長くゴルフに励むためにも、“食トレ”に楽しく邁進しましょう!
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