連載 今月のゴルフ愛最後の一滴 「ゴルフ場の幽霊」 2026.07.10 連載 同じ景色を見ても、連想する光景は世代によって変わるようだ。たとえば、「怖い」と感じる情景も世代によって随分と異なる。若い人にとっては、ゾンビやモンスター、あるいはテレビ画面の奥から這い出す貞子…は少しオッサン寄りの光景かもしれない。 一方、我々アラカン以上が感じる怖さは、少々の湿りを帯びている。井戸のそば、墓場の陰、そして柳の下。そこに白い着物の女の影がユラリ…。これだけで、十分に怖かった。カートに乗ってセカンド地点へ向かう途中のこと。じめっとした空気の淀む池の横に差しかかったときだった。 「ほら、池の横に柳が生えてるやろ…」 友人のTが、静かに柳を指さし、語りはじめた。その日、Tは四十代から六十代のオッサンたちに加え、二十代の若者と共にラウンドしていたという…。 「朝から雨が降っててな、空も暗うて、風もないねん。せやのに、柳の枝だけが、ゆらぁ~っと揺れてるねん…」 そう語りながら、Tは両手を胸元に持ち上げ、手首から先をダラリと垂らしてみせた。 「あの柳の下にな…出るらしいで…」 Tは若者の目をじっと見つめた。見つめられるほどに、彼の目は大きく見開かれ、真顔でこう言ったそうな…。 「マ、マジっすか! カ、カンガルーが出るんすかッ!」 一瞬の沈黙のあと、彼らを乗せたカートは揺れに揺れたとのこと。 なぜ笑われているのか分からない彼は、ふてくされて「ほな、何が出るいうんですか!?」と言ったとか…。 緑が鮮やかになる季節。ゴルフ場には、幽霊よりもカンガルーのほうがよく似合う。若いモンの発想力。そして、カンガルーを信じ切る力。まんざら捨てたものではない。 世代の違う者同士が、一日を共に歩くからこそ見える景色もある。若いモンについ人生を語りたがるベテラン世代の我々も、柳の下にカンガルーを重ねるくらいの陽気さと発想力は、見習った方がいいのかもしれない。 内本浩史(うちもとひろし) BUZZ GOLF 主筆 BUZZ GOLF プロフィール 良いものミックス!ゴルファー目線の選りすぐり情報発信マガジン! “BUZZ(バズ)”とは様々な情報を持ち寄り、良いものを... Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it 投稿者: BUZZ GOLF連載コメント: 0 JUSTBUY!編集部から必要買いの提案|TURF DESIGN グリ... BUZZ GOLF 2026年8月号 発行 コメント ( 0 ) トラックバック ( 0 ) この記事へのコメントはありません。 この記事へのトラックバックはありません。 トラックバック URL 返信をキャンセルする。 名前 ( 必須 ) E-MAIL ( 必須 ) - 公開されません - URL
この記事へのコメントはありません。