連載 今月のゴルフ愛 最後の一滴「金のボール? 銀のボール? それとも……」 2025.06.11 連載 「あなたが池に打ち込んだボールは、この350ヤード飛ぶ金色のボールですか? それとも、100ヤードしか飛ばないけれど、決して曲がらない銀色のボールですか?」 もし、女神様にそう問われたら、僕ならきっとこう答える。 普通のボールをください」と。 金のボールは、思いきり飛ばしてスカッ!としたいという欲望の象徴だ。周囲を驚かせたい。イーグルを獲りたい。すごいスコアでラウンドしたい。それが、ゴルファーの本性である。 一方、銀のボールも捨てがたい。曲げずにリスクを避け、パーを重ね、たまにバーディーを拾う。ゴルフの本質を理性とすれば、むしろこちらの方が望ましい。 しかし、実際に使ってみればどうだろうか。 金のボールは350ヤードの大フックで谷底へ。銀のボールは、ピンまで30ヤードのアプローチをトップして奈落へと。どちらもミスによる大叩きは免れない。そもそも金や銀のカラーボールなんて、ラフに入れば芝影に同化してロストになりかねない。 結局、どんなボールを選ぼうが、スコアをつくるのは自力である。 飛ぶ日もあれば、飛ばない日もある。真っすぐ飛べば、突然曲がることもある。飛ばしたい、寄せたい、入れたい、勝ちたい。でも、曲がって、ザックリして、50cmを外して1mオーバー。悩んで、迷って、落ち込んで、たまに笑う。結局、矛盾が折り重なる中にゴルフがある。 ちなみに「金の斧と銀の斧」の寓話では、「鉄の斧です」と正直に答えた木こりの誠実さに女神様が胸打たれ、金・銀・鉄すべての斧を授けた。現代風にいえば、まさに“ディール”である。3本の斧を持ってニタリと笑って親指を立てる。あの金髪男の姿に重なってきた。 そして、僕は今日もいつものボールでプレーする。とはいえ、1球600円はくだらない。結局、微妙なその金額に、金と銀の色がじんわりとにじみ出しているのだ。性能の差なんて、僕にはさっぱりわかっちゃいない。 内本浩史(うちもとひろし) BUZZ GOLF 主筆 BUZZ GOLF プロフィール 良いものミックス!ゴルファー目線の選りすぐり情報発信マガジン! “BUZZ(バズ)”とは様々な情報を持ち寄り、良いものを... Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it 投稿者: BUZZ GOLF連載コメント: 0 90切りを目指す人の〝スコアを整える朝ごはん〟|食トレで変わる、その一... BUZZ GOLF 2025年7月号 発行 コメント ( 0 ) トラックバック ( 0 ) この記事へのコメントはありません。 この記事へのトラックバックはありません。 トラックバック URL 返信をキャンセルする。 名前 ( 必須 ) E-MAIL ( 必須 ) - 公開されません - URL
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