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今月のゴルフ愛 最後の一滴「シンプルゴルフのすすめ」

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ゴルフは、極めてシンプルな競技である。長い棒で球を打ち、人より少ない打数で穴に入れた方が勝ちとなる。にもかかわらず、驚くほどややこしい。

14本もの棒を使ってボールを打つことが許されている。それぞれの棒は異なる個性を持つ。映画『七人の侍』でさえ、描かれるのは7人だ。それなのに14本である。その多さゆえに、選ぶ悩みは深くなる。さりとて、好んで7本でプレーする人はほぼいない。

シンプルを極めたような競技にしては、ルールも複雑だ。ごめんなさいで1打罰。ズルと思しき行為には2打罰。時には温情で罰が無いこともある。加えて、棒1本分だの、2本分の範囲の内に御作法通りにボールを置けという。ややこしい。

そもそも、ボールを打つという行為そのものがややこしい。遥か彼方へドカン! と飛ばしたかと思えば、穴まで50㎝の距離を必死で沈めようと奮闘する。が、思うようにはいかない。右へ曲がり、左へ引っ掛け、カップの縁でクルリと回ったボールは加速しながら転がり去る。

結局、ゴルフをシンプルにするには、真っ直ぐドカン! と飛ばし、ポコンとグリーンに乗せ、カランと沈めればよい。分かっているからBUZZを読み、YouTubeを見て、練習場で打ち込んでみる。目の前に澄みきった泉が突如出現することがある。が、ドロドロの沼と化すには、そう時間はかからない。この泥沼に頭の先まで浸かり、もがき苦しむことを「ハマる」というのだろう。結局のところ、泥沼遊びを楽しんでいるのである。

シンプルなものを深掘りし、複雑にして、再びシンプルな形へと戻すべく悪戦苦闘することが人間の面白さかもしれない。だから、ゴルフは面白い。

さて本号では、大西翔太コーチがシンプルスイングを説くという。どれほどややこしく説いてくれたのだろうか?  彼の「泥沼」を誌面から垣間見てみたい……と思うのは、ひとえに僕の性格の悪さに尽きる。只今、悪戦モガキ中。

 

内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF 主筆

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