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今月のゴルフ愛 最後の一滴「カツモクせよ!」

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130前後でラウンドし続けていた若手の二人がコンペでシノギを削っていた。変動するライブコンペの順位をスマホ上に見ながら、彼らの戦いぶりが気になっていた。

その昔、呉という国に「蒙ちゃん(呂蒙)」と呼ばれ可愛がられた武人がいた。字もろくに読めない彼に「少しは勉強したらどや?」と王様は会うたびに諭した。蒙ちゃんを古くから知る学者がウワサ漏れ聞く彼に久々に会いに行った。この時の蒙ちゃんの言葉が今に伝わる。「男子三日会わざれば刮目して見よ」である。学びと実践を通して大人物へと変容を遂げた呂蒙の絶対的な自信がこの言葉から伺える。

ところで、僕の本分はゴルフをど真ん中に据えた企業経営である。新しい価値を創造し、世に提供して誰かに喜んでもらえたらラッキー!という生業である。古きを大切にしつつも、未来の価値を創り続けるところが醍醐味となる。その為に、自身の能力を高め、視野を広げられる人物は欠かせない。

結局、二人は95と97でホールアウトした。彼らには共通点がある。95のH君は、プロダクトのマーケッターであり、97のU君はゴルファーに寄り添ったシステム開発をしている。共に価値創出の根っこに居る。自身が提供するプロダクトが、ゴルファーの揺れ動く感情の中でどのような役割を果たすのか。知識ではなく、ゴルファー心理の淵から覗き込んでみたいと思う気持ちが上達へのモチベーションに繋がった。

一方の僕は… アベレージゴルファーの深層心理には立てるが、トップアマの気持ちに触れたことはない。忙しさにかまけず、大きめの競技のひとつにでも出てみよう。詰まるところ、モチベーションとは、人の助けを借りながら目の前に存在する可燃性の油に気付くことであり、それに着火する覚悟であることを若い彼らから教えてもらった。

「3ラウンドあれば刮目して見よ!」

還暦越えの僕だって。

 

内本浩史(うちもとひろし)
BUZZ GOLF 主筆

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