“知らない”が一番損をする! 脱出を簡単にさせる バンカーショットのメカニズム（前）

もうバンカーで無駄に
打数を重ねたくないから

プロゴルファーはバンカーショットをいとも簡単そうにこなすが、アマチュアゴルファーにとってバンカーはむしろ超難解なハザードである。プロとアマチュアにおけるバンカーショットの明確な違いはもちろんそのショット技術にあるだろうが、その大前提として砂場からの脱出方法に明確な答えがないからだ。

「あ〜今日もバンカーで大叩きして100（90）が切れなかった・・・」。ステップアップを目指す中でいつもバンカーは壁となる。そんな経験を誰もがしたことがあるだろうし、同伴プレーヤーからもよく耳にしてはいないだろうか。ボールがピンに寄らないまでも最低限バンカーから脱出できないと、ベストスコアを目指すというアマチュアゴルフ道におけるスコアメイキングの堅実さは絶対に成り立たない。悔しい思いをされているBUZZ読者の皆様のために、今号ではバンカーショットをシンプルにするためのメカニズムを特集していく。

バンカーショットを
最低限クリアさせるなら
砂からボールを飛ばす性能に
優れたウェッジを選びたい。

砂に埋もれている
ボールを飛ばすには
サンドウェッジの
ソールの力が不可欠

バンカーショットでスコアメイクに苦しむゴルファーは少なくはない。ダフリでボールがうまく飛ばせない、トップでホームランなどとなれば、スコアは無駄に重なる・・・。

「多くのアマチュアゴルファーにとってバンカーショットが難しい理由は、砂の中に沈んでいるボールの状況下において、適切にソールを砂にコンタクトできないことにあります。もちろん通常のショットとボールへの距離感覚が異なりますし、通常のショット通りにフェース面を意識してボールの手前をダフっても、うまくボールは飛ばせません」。

砂に若干でも沈んでいるボールにフェース面の直接なコンタクトは不可能。また砂が硬くボールが沈んでいない状態であってもクリーンにインパクトするのは難題。バンカーショットはボール前後の砂ごと払うことがシンプルにボールを飛ばせる原理そのものだ。バンカーショットに有利なウェッジとは何か。

「ボールの下の砂をインパクトしていくバンカーショットの成功はソールパフォーマンスなくしてあり得ません。ソールの役目は砂にヘッドを潜らせないことにあり、通常の芝上でもこの役目は変わりません。ソール機能として全てのウェッジに備わっていますが、とくにその効果が顕著に発揮できるワイドソール（幅が広い）がバンカー向けとして推奨できます。ワイドソールはリーディングエッジよりもソール面が砂にコンタクトできるタイミングがいち早くできるため、とても有効なのです」。

重ねてバンカーショットが苦手なら、ボールを安定して飛ばせる機能に特化されたウェッジを選びたい。

「砂には抵抗があります。その抵抗に負けないようソール機能でボールを飛ばせるのが、バウンス効果の役目です。バウンス角が大きければそのアクションはてきめんとなり、砂の抵抗を受けてインパクトエリアでロフト角が立っていくようにヘッドの抜けを促すため、ボールを飛ばせる効果を生み出せるのです」。
　砂上からボールを飛ばすためには、ソールアクションが必要不可欠。次コーナーではソールを活かすショット技術についてプロゴルファーに学んでいこう。

エンジニアの視点

私たちが普段から使用しているサンドウェッジにはバンカーショットをクリアできる性能は十分に備わっている。
大切なのは自分にとって有利なモデルを選び、ウェッジの性能を100%発揮できるか、だとエンジニアは解説する。

解説／クラブエンジニア
松吉宗之さん
まつよしむねゆき、これまで数々のプロダクトの設計を担当し、特にウェッジで新たなムーブメントを起こしてきたクラブエンジニア。現在はジューシーを起業してオリジナルクラブの開発製造を手がける。

バンカーショットを
難解にさせる理由
ボールに砂が沈んでいるケースが多いため、通常のショットのようにボールを直接打てない。砂上での抵抗で発生するソールアクションを利用して、ボールを飛ばさなければならない。

バンカーショットを成功させる
サンドウェッジの要素
サンドウェッジは砂に潜らせないためにソール幅が広いことが特徴だ（芝でも同じ）。そしてバンカーショットでのボールの飛びに大きく関与するのがバウンス角。砂面に対して抵抗となるバウンス効果が大きいウェッジ（バウンス角が大きい）ほど、ロフト角＋αの飛び性能となってボールを優しく飛ばすことができる。